今からできる!“争族”にさせない3つの対策

こんにちは、生活設計塾幸せ家族ラボ代表、
家計運用コンサルタントの内田英子です。

世界に先駆けて「超高齢社会」となった日本。
変容する社会に対応し、持続可能な社会を形成すべく
相続の分野でも、近年さまざまな法改正が行われています。
まず、2015年税制改正において、相続税の非課税枠4割削減されました。

下図をご覧ください。

法定相続人4人の場合は、
改正前は遺産にかかる相続税の非課税枠が9,000万円だったのに対し、
改正後は5,400万円に縮小しています。

つまり、実質の相続税の増税ですよね。

これにより、相続財産の多い家庭においては、より早めの相続対策が必要になってきました。

また2019年以降、民法においても様々な改正が行われています。

(※それぞれの詳しい内容は今回は割愛します。)

ところで相続対策といえば、一部の富裕層の家庭だけに必要なことで、
普通の家庭では必要ないとお考えではありませんか?

とんでもない!

実は相続でもめるのは、案外ごく普通の家庭、という場合も少なからず事例としてあるのです。

最高裁判所「令和2年司法統計年報(家事事件編)※遺産分割事件のうち認容・ 調停成立件数(「分割をしない」 を除く)―遺産の内容別 遺産の価額別―全家庭裁判所」
によれば、
遺産分割事件となった遺産分割のトラブルは
総数5,807件のうち、
遺産総額1,000万円以下が2,017件で、5,000万円以下では2,492件です。

遺産分割事件のうち、77%を遺産総額5,000万円以下が占めているのです。

どうしてなのでしょうか?
財産はそれほどないのだから、もめないのでは?

そんな風に思われませんか?

確かに、相続発生時、分けることができるものだけが残っているのであれば
よほど相続人間でもめない限り、もめる可能性は低くなってくるでしょう。

でも、もし分けることが難しい財産ばかり残されていたとしたらどうでしょうか?
分けることが難しい財産の代表的なものは、不動産でしょう。

預貯金など分けやすい相続財産が他にもあるのであれば、話し合いもしやすく、

分割もスムーズに進みやすいでしょうが、

相続財産がほとんど不動産といった場合には注意が必要です。

不動産を相続する相続人への偏りから不公平感が募り、

もめごとに発展する可能性は大いにあります。
相手の意思を尊重する話し合いも十分にないまま

そのような結論に至るのであれば、なおさらでしょう。

 今回のブログでは、普通のご家庭だからこそ知ってほしい、
今からしっかりと考えたい
相続を“争族”にしないための3つの対策を、
家計の総合医の視点でお伝え、解説します。

【目次】
【1】相続を”争族”にしない3つの対策
 1. 資産とご自身の意思を表すものを残す。
 2. 不動産の大まかな相続税評価額を出す。
 3. 相続税の大まかな課税財産額を出す。

【2】まとめ

【1】相続を”争族”にしない3つの対策

順に解説していきます。

1. 資産とご自身の意思を表すものを残す。

相続を“争族”にしないために、
まずお勧めしたいのは
エンディングノート、もしくは遺言書を書くことです。
なぜだと思いますか?

想像してみてくださいね。
もしも何も対策をとられていないまま相続が発生した場合、
遺産分割の話し合いを行いますね。

遺産分割の話し合いは、もちろん分割できる遺産はいくらあるのか?を明らかにするところから始まります。

もしも、残されたご家族などの相続人が別居のご家族ばかりならばどうなるでしょうか?

相続税の申告には期限がありますから、
期限内に全て調べるためには、大変な労力と時間を要するだろうことは、
容易に推測できることでしょう。

エンディングノートとは、別名「終活ノート」とも呼ばれるそうですが、
ご自身がどのような資産をもっているのかといった資産の内容や、
医療や介護、葬儀などの要望や家族への思いなどを
書いて残しておくことができるノートです。

市販のものもありますし、行政書士会などで無料配布している地域もあります。

一方、遺言書はご自身の財産を誰に、どのように託すかを意思表示できる手段です。

遺言書は効力を発揮するためには決まった作成方法で行う必要がありますし、
法定相続人を確認することも必要です。

そのため、まず行いやすいのはエンディングノートを作成することでしょう。

ちなみにエンディングノートと遺言書に共通するのは、
相続財産の内容がわかり、ご自身の意思を示すことができるということ。

まずは、ハードルの低いエンディングノートから、
書き込めるところだけでも構いませんので
書き込んでみることをおすすめします。

2.不動産の大まかな相続税評価額を出す。

 エンディングノートにしても、遺言書にしても、
ご自身が今もっている資産を書き出す場合に、
多くの方の筆が止まってしまうのは、
お持ちの不動産はいくらの価値があるのか?
ということではないでしょうか?

 正確な評価額を出すのは税理士に相談されることをお勧めしますが、
賃貸や事業に利用していたり、特殊な形状の土地などでない限り、
ご自身が住む土地の大まかな評価額は
ご自身で計算できることはご存じでしょうか?

主にご自身で保有されて住まれている土地の、
相続発生時に問われる相続税評価額の算出の手順をご紹介します。

まずは予め土地の面積を調べておきましょう。
面積がわかったら、次は国税庁のホームページにアクセスして路線価を調べていきます。
路線価とは、その道路に面する土地の1㎡あたりの評価額のことで、
相続税や贈与税の計算をする際に利用されます。

 以下の国税庁のページで、住所ごとに路線価が調べることが出来ます。

https://www.rosenka.nta.go.jp/

ちなみに、中には路線価の定められていない地域もありますが、
その場合は固定資産税評価額に
国税庁が定めた倍率をかけて評価額を算出する
「倍率方式」で評価額を計算します。

路線価は千円単位で表示されています。
例えば「78E」と書かれている場合は1㎡あたり78,000円ということです。
アルファベットは借地権割合(借りている人の権利の割合)をあらわしています。

ご自身で所有されている土地なのであれば、こちらは利用しません。

 路線価がわかったら、その土地がどの地区に該当するのか、
も見ておきましょう。

地区を調べるには、同じく路線価図の中に記載されている〇や□などの記号を確認していきます。
記号の意味は、路線価図にも書いてある通りですが、
例えば数字が〇で囲われていれば普通商業・併用住宅地区、
何も囲われていない場合は普通住宅地区です。

地区がわかったら、補正率を調べていきましょう。

基本的にご自身で使用されている土地(自用地)は
「路線価×面積」で相続税評価額を計算しますが、
同じ面積でも形状などの違いにより使い勝手の良しあしがあるため
補正率をかけて評価額を補正するのです。

補正率は路線価と同様に国税庁のホームページで調べることができます。

https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/meisai_frm.htm

補正の種類としては、奥行価格補正や不整形地補正、間口狭小補正などがあります。

補正率がわからない場合は、
1本の道路にしか面していない住宅であれば、
補正率は加味せず単純に「路線価×面積」で相続税評価額を計算し、
概算するかたちでも相続対策の第一歩としては十分でしょう。

面している道路が複数ある場合や正確に算出されたい場合は、
税務署の無料相談なども利用し、税理士へ相談してみるとよいでしょう。

ちなみに、土地ではなく家屋の相続税評価額を知りたい時は
固定資産税額の納税通知書で確認できます。

ご自身が住まれている家屋の相続税評価額は、
家屋の固定資産税評価額と同様です。

3.相続税の大まかな課税財産額を出す。

 相続財産を分けられることは優先すべき事項ですが、
相続対策を行う際には同時に
そもそも相続税を納める必要があるのか?
といったことを確認しておく必要があります。

不動産に関しては要件を満たせば相続税の課税財産から80%評価減したり、
配偶者に関しても要件を満たしていれば利用できる大きな非課税枠もありますが、
まずはざっくりと相続税の基礎控除額を算出してみましょう。

相続税の基礎控除額とは、
法定相続人の人数に基づき計算される相続税の課税財産の
評価額から差し引くことができる税金の割引の仕組みです。

法定相続人とは、民法で定められた相続人のことで、
まずは法律婚をしている配偶者、子どもが優先され、
子どもがいない場合は直系の兄弟姉妹が法定相続人となります。

遺産に関わる相続税の基礎控除額は以下の算式で計算できます。

3,000万円+法定相続人×600万円

冒頭でも紹介した算式ですね。

ざっくりとでもいいので計算されてみて、
もしも相続税の基礎控除額を超えそうなのであれば、税理士に相談しましょう。

相続税の支払いが発生するのであれば、納税資金の準備への配慮が必要となります。

【2】まとめ

実際にエンディングノートや遺言書を書いてみて、
資産のほとんどを不動産が占めているなど、
残せる「モノ」はあるものの
分けることのできる「お金」が少ない!
という方も少なからずいらっしゃることでしょう。

その場合には、こつこつとした事前の相続資金準備が必要になります。

また、相続税を納める必要がある場合は、
生前贈与も有効な対策となってくるでしょう。

相続資金準備や生前贈与にあたっては
持続可能な家計を維持していくことが重要です。

当オフィスの「家計診断コース」では
家計診断を行い、
相続資金準備や生前贈与にあたって
ご家庭では具体的にはどのような対策が無理なくとれるのか、
対応可能な方法の診断が可能です。

その診断を基に、必要に応じて相談窓口をご紹介しております。

相続にご不安がある方はぜひお早めにご相談くださいね。