こんにちは、生活設計塾FPオフィス幸せ家族ラボ代表、
家計運用コンサルタントの内田英子です。
このところの長引く低金利を反映しているのでしょうか。
近頃「金銭信託」という聞き慣れない金融商品を
ちらほら目にするようになりました。
銀行の出している金銭信託のパンフレットなどを見ると
1年あたり○○%のように、割合を示す数字が書いてありますね。
そして商品名に預貯金を匂わせるような単語を入れていたり・・・。
そんなパンフレットの構成を見ていると
定期預金とよく似ていて、
無意識に定期預金かのように錯覚してしまいそうです。
でもよくよく読んでいくと、定期預金とは違うところがちらほらと・・・。
名前は違うから預貯金とは違うのだろうといったことに気づきながらも
実際のところがよくわからず混乱してしまうのも
自然なことでしょう。
そこで、今回はそんな金銭信託の概要や選ぶときの注意点について、
家計の総合医の視点で解説していきます。
【目次】
【 1 】金銭信託
1. 金銭信託の概要
2.実績配当型金銭信託〈ユニット型〉の概要
3.実績配当型金銭信託〈ユニット型〉の注意点3つ
【 2 】まとめ
金銭信託は、一体どのような金融商品なのでしょうか?
まずはじめにざっくり申し上げると、
金銭信託はその言葉の通り、「金銭を信じて託す」金融商品です。
ではその金銭信託を利用した場合、
わたしたちは一体どこに託すのでしょうか?
金銭信託において、わたしたちがお金を託す先は主に信託銀行です。
わたしたちが主に信託銀行に託したお金を「信託金」と言い、
信託銀行は約款に指定された運用範囲で管理・運用し、
生じた収益を顧客に分配する仕組みです。
すこし投資信託と似ている部分もありますね。
実は金銭信託にはいくつかの種類があります。
元本保証がなされる合同運用指定金銭信託〈一般口〉もありますが、
仕組みの異なる実績配当型金銭信託〈ユニット型〉もあります。
今回のブログでは
実績配当型金銭信託〈ユニット型〉について解説していきます。
ユニット型では募集ごとに1つのファンドを構成します。
ファンドとは、
平たく言えばひとまとまりのお金のことですね。
一般消費者に向けた商品としては、収益満期受取型と収益分配型の2種類があります。
収益を実際に顧客が受け取る時期や方法等により区分されています。
基本的なしくみは、前述の通り、
信託された金銭を運用し、信託期間中の運用実績に応じて、
予定配当率に準じた配当を支払うというものです。
信託された金銭の運用方法は、
安定性に加えて収益性をより意識した運用範囲とされています。
実際には住宅ローン貸付金、クレジット債権、リース料債権などを裏付けとした
信託受益権などで運用されているようです。
信託期間、最低信託金額などについては、信託銀行が募集の都度、独自に決めていますが、
1年単位、10万円以上1円単位で信託できる商品もあります。
契約の利便性を高め、契約時に「自動継続」とできる商品もありますが、
その場合は
当初の信託期間の同様の期間で自動継続されます。
信託終了の時に元本に損失が生じた場合も元本補てんはする契約は付されておらず、
元本損失リスクがあります。
実績配当型金銭信託では、予定配当率は示されますが、
実際にいくらの配当を受けられるのかは
信託期間中の運用実績に応じて決定されます。
一般的には配当は年2回支払われるようですが、
予定配当率も年に2回見直される点には注意が必要です。
つまり、配当をだすしくみはあるものの、
いつ、いくらの配当を出すかは約束されていないということですね。
ちなみに、預貯金とは異なり「利率」ではなく「配当率」と明示されている点にも
注意が必要でしょう。
「利率」とは、お金を貸した時に受け取ることができる1年あたりの利息の
貸出し元本に対する割合のことです。
預貯金は実は、わたしたちが銀行等に貸し出しているお金であり、
利息は銀行にお金を貸している結果、
受け取ることができる約束された収入なのですね。
金銭信託においては安定性だけではなく収益性を加味してリスクを取った運用をしていますが、
その収益は約束されたものではありません。
「配当率」はあくまで運用の結果受けられた配当の投じた資本に対する割合であり、
最終的にお約束されたものではないということには注意が必要です。
原則として信託期間中の解約はできませんが、
やむを得ない事情がある場合には、
一定の日に所定の解約調整金を支払って解約することができます。
しかし、前述の通り元本保証ではありませんので、
解約時にいくら手元に受け取ることができるのか、
といったことはわからないことには注意が必要です。
定期預金であれば、
万が一銀行が破綻してしまった場合にも、
預金者1人あたり1金融機関につき元本1000万円とその利息まで
預金保険機構により保護されますが、
実績配当型金銭信託〈ユニット型〉は
預金保険制度の適用外となっています。
そのため、万が一金融機関が破綻してしまった場合には
第三者機関が保護してくれるというセーフティネットはありません。
金銭信託は一部定期預金に似ていたり、一部投資信託に似ている点もありますが、
実際にはそれぞれ全く違う金融商品です。
一見してみるととっつきやすそうな商品に見えることもありますが、
その裏には複雑性もはらんでいます。
定期預金のような側面もある一方、
その本質は投資信託のように一定のリスクのある金融商品で運用し、
反面公募型投資信託とは異なり、
自由に解約できるものではなく、
金融機関破綻時のリスクもあるという点を
しっかりと踏まえておきたいところです。
運用期間中は運用結果に関する資料(ディスクロージャー資料)が作成され、
定期的に報告されることとなっています。
信託期間がまだ続くからと放ったらかしにしておくのではなく、
ご自身の資産を守るためにも
運用結果を都度確認するようにしましょう。
当オフィスのコンサルティングでは、
持続可能な家計を実現するにあたり、
それぞれの金融商品の特性とあなたの家計を踏まえ、
あなたに適切な金融商品の枠組みの診断を行うことも可能です。
新しい金融商品に挑戦したいなと思われた場合、
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