こんにちは、生活設計塾FPオフィス幸せ家族ラボ代表、
家計の総合医。ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。
近頃マイホーム計画のコンサルティングをお受けしていて、
中古住宅購入にかかるご相談が増えてきています。
新築住宅を取得する場合と比べると、
中古住宅取得に関する情報は、本当に少ないですよね。
米国では住宅の取得と言えば中古住宅の方がメジャーなのに対し、
日本では新築への要望が圧倒的多数。
これらの事情や日本の地震の多さなどが主な要因となり
中古住宅の流通が進まないのであろう背景は推察できますが、
とはいっても世界の流れは持続可能な社会の構築に向けて、
環境保全などのさまざまな取り組みを推進しています。
住宅は建てるときにも壊す時にも環境に負荷がかかるものですから、
個人的には住宅を新しく建てたら住みつぶして、壊して、また建てて、
というサイクルは
好きな考え方ではありません。
(モデルハウスは5年に一度建て替えるとも言われているそうです。)
そんな個人的な考えもあり、私は日頃コンサルティングをしていながら、
新築か中古を迷われている方がいらっしゃれば、
中古住宅購入の検討支援も積極的にさせていただいているのですが、
冒頭でもご紹介した通り、
中古住宅については情報が圧倒的に少ないことも珍しくありません。
中古住宅の流通が進まないのはこの情報の少なさもあるのでは、
と思うこともしばしばあります。
今回のブログでは中古住宅を買う前には最低限知っておきたい3つのポイントを
ご紹介しながら、家計の総合医の視点で解説します。
もしかしたら知らないで中古住宅を取得してしまうと、
計り知れない損失になるかもしれませんよ。
【 1 】知っておきたいポイント①:新耐震基準
【 2 】知っておきたいポイント②:既存住宅売買瑕疵担保責任保険
【 3 】知っておきたいポイント③:買い手の権利
【 4 】まとめ
新耐震基準とは1981年に改正された建築基準法の耐震基準です。
建築基準法は、建物を建てる時に私たちが守るべきルールであり、
その目的は「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、
国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する」
こととされています。(建築基準法第一条)
それぞれの土地に建てることのできる建物の種類や建設可能な面積、
また建てる際に踏まえるべき手順や、
耐震強度を含めた火災、換気、採光など建築物に関する安全性の最低の技術などが
ルールとして明確化されています。
建築基準法における耐震基準は、新耐震基準が制定される前にも定められていました。
(現在では「新耐震基準」に対し「旧耐震基準」と呼ばれています。)
しかし、1978年に発生した宮城県沖地震の被害が甚大だったことを踏まえ、
それまでの耐震基準よりも、
より厳しい基準を定めたのが、「新耐震基準」です。
具体的には、新耐震基準では「中規模の地震動(およそ震度5強程度の地震)で
ほとんど損傷しない」設計と
「大規模の地震動(およそ震度6強~7程度の地震)で倒壊・崩壊しない」設計が
義務付けられているそうです。
(出所:「国土交通省 建築基準法の耐震基準の概要」)
言うなれば、大きな地震を想定し、
万が一の際に致命的な建物の損傷を免れることができる構造計算による設計を
ルール化したものが新耐震基準であると言えるでしょう。
中古住宅の取得を検討する際の悩みどころは様々ありますが、
日本に住むうえでは地震に耐えられるかどうか、
といったご心配もあってごくごく自然なことと思います。
現在は実際のところ、1995年の阪神・淡路大震災を経て、
新耐震基準からより厳格化された「2000年基準」もあるのですが、
安定した住まいを確保することを前提として、
中古住宅を選択肢に加えるのであれば、
最低限、「新耐震基準」を満たした中古住宅を選びたいところです。
既存住宅売買瑕疵担保責任保険は、
“中古住宅の検査と保証がセットになった保険”で、
“住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を引き受けます。”
(出所:「国土交通省 住宅瑕疵担保制度ポータルサイト」)
中古住宅は、事前に検査を踏まえず購入に至ってしまうと、
購入前にはわからなかった欠陥が見つかり、修繕費に大きな金額がかかってしまった、
など、新築住宅と比べるとこんなはずじゃなかった、という事態になる可能性も。
そこで、知っておきたいのはこの既存住宅売買瑕疵担保責任保険という制度です。
中古住宅は申し込みをしたら、契約前に専門家による適切な検査を行い
既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しましょう。
既存住宅売買瑕疵担保責任保険には、
安心が確保された住まいでなければ加入することはできません。
確かな住まいを確保し、場合によっては再度売却する際にも役に立つことでしょう。
また、実は既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入することで、
家計にとってもうれしいポイントがあります。
もちろん保険ですので、購入後に雨漏りなどの修繕が必要になった際に
要件を満たせば修繕費の補填をうけることができることも
家計にとってのメリットの一つと言えますが、
加えて耐震要件のみでは住宅ローン控除の適用とはならなかった中古住宅でも、
既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入することによって
住宅ローン控除を利用することができるようになる可能性もあるのです。
一般的な中古住宅の取得に際して
住宅ローン控除によって受けることができる減税額は最大で200万円です。
住宅ローン控除適用にあたっては、
耐震要件のみで要件を満たすことを想定すると、
物件によってはハードルがかなり高くなる場合もあるのですが、
既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入することによって
住宅ローン控除の要件を満たせるのであれば、
必要な修繕費をこなしても、結果的に負担を大きく減らせることが期待できます。
日頃は縁のない方の多い不動産の取引をするにあたって、
買い手にはどのような権利があって、
販売者にはどのような説明や責任を求めることができるのかわからない、
という方も少なからずいらっしゃることでしょう。
中古住宅を購入するにあたって知っておきたい4つの買い手の権利をご紹介します。
民法では、不動産を含む売買において引渡しがなされたものの、
種類、品質または数量において契約の内容に適合しない(契約不適合である)ときに、
買主は、売主に対し、上記4つの権利行使ができるとされています。
しかし、いずれも権利行使にあたっては、買主に責任がないことと、
不適合を知ってから、1年以内にその旨を売主に通知するという要件を満たす必要がありますし、
また実際に契約不適合責任を検討する際には、契約不適合であることを証明する必要があります。
加えて、中古住宅の売買においては個人間の取引が一般的ですが、
その場合は、契約不適合責任は任意規定であり、
特約により排除することが可能になっています。
このことからも中古住宅の契約前には契約内容をあらかじめよく読み、
契約内容にあった住まいの品質をご自身でもある程度想像し、
理解できるよう自ら働きかけることも重要です。
※損害賠償請求については、売主に責任がある場合のみ行使可能。
マイホームはやはり大きなお買い物です。
加えて不動産取引にはさまざまな企業がかかわっており、
さまざまな法律もあり、複雑です。
適切な選択肢を選ぶにあたっては、たとえ新築住宅であったとしても
特に慎重に検討することが求められる契約の一つと言えるでしょう。
当オフィスでは、マイホーム購入において、
まずは現在のご自身のご家族構成や所得状況、あなたのお考えから、
今後どのような選択肢をとることができそうなのか、
さまざまな事情に配慮して、
資金計画を土台とした持続可能で総合的なマイホーム計画構築のアドバイスを行っております。
※必要に応じて適切な窓口もご紹介しております。
あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、
総合的で長期的な視点に基づく
持続可能な生活設計で応援しています。
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