こんにちは、生活設計塾FPオフィス幸せ家族ラボ代表、
家計の総合医。ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。
新しい一年が始まりましたね。
年初からばたばたとしておりましたので、
個人的にはお正月気分のあまりない年末年始となりました。
皆さんはいかがでしたか?
今年も
改正内容をはじめ、
家計運用の読むおくすりとなる内容を
つれづれと、ブログに書いていきたいと思っておりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
さて今回のブログのテーマは「ふるさと納税」です。
今となっては、多くの方が知るところとなりました。
年末の各種メディアでは、キャンペーン実施などで
ずいぶん賑わせていましたね。
ふるさと納税は実質少ない自己負担で
多くの品物などを受け取れる“おトク”な制度
として認識していらっしゃる方も多いことでしょう。
しかし、ふるさと納税は
生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域へ、
いわばご自身が支払う税金の支払先を振り替えることで行う、
税金のしくみを利用した「寄附」の制度です。
親しみやすい名前の反面、
税金の還付を受けることなくしては「おトク」を享受することはできないなど、
利用にあたってはいくつかの重要な注意点もあります。
そんなふるさと納税ですが、
今年の申告分から
確定申告の申告手続きが簡素化されるようになります。
そこで、今回はふるさと納税のキホンや
利用の注意点について改めて振り返りながら、
簡素化された申告手続きと
ワンストップ特例ではなく確定申告することにより受けられる
うれしいメリットを3つ
家計の総合医の視点で解説していきます。
【 1 】ふるさと納税のキホン
【 2 】ふるさと納税利用の注意点
【 3 】簡素化された申告手続き
【 4 】確定申告で受けられるうれしいポイント3つ
【 5 】まとめ
- 都道府県、市町村への「寄附」です。
- ご自身で「寄附先」を選ぶことができます。
- 原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が税金還付によって戻ってきます。
ふるさと納税はその言葉の示す通り、
「ふるさと」に「納税」できるしくみです。
通常であれば、税金は国の他にはお住まいの土地に納めますので、
離れてしまった生まれ育った地元へ納税することはできません。
しかし、ふるさと納税を利用することにより、
自ら選んだ自治体へ、国や居住地に支払うはずだった税金を振り替え、
寄附となる税金を納めることができるのです。
一方、ふるさと納税は
「寄附金控除」という既にあった国の税制を利用した仕組みです。
ふるさと納税では、その他の寄附金控除の対象となる寄附金よりも税金の控除枠を拡大し、
寄附金額に応じた一定の金額を住民税から大きく差し引くことにより、
より多くの税金が返ってくるしくみになっています。
納税者に返ってくる税金額は、
基本的にはご自身が行った寄附金額から自己負担額2,000円を差し引いて、
なおも残る金額すべてです。
自治体間の競争を促し、
よりよい地域づくりにつなげたいという
ふるさと納税創設の理念に基づいているのでしょう。
ふるさと納税の際には、
寄附先の自治体からお礼の品を受け取ることができるようになっています。
ご自身で寄附先を選ぶ際には、
ふるさと納税の申し込みができるポータルサイトで、
予め寄附金がどのような使われ方をされるのか、
またどのようなお礼の品を受け取れるのか
確認することができるようになっています。
そのため、ふるさと納税は、比較的すぐに一定の満足感を得やすいのですが、
肝心の税金還付の仕組みは少々複雑です。
こんなはずじゃなかったとならないためには、
一歩踏み込んで制度を理解することも必要です。
今回のブログでは利用にあたっての注意点を2つ解説します。
(※図は著者作成。無断転載・コピーを禁じます。)
控除できる寄附金額には上限がある。
ふるさと納税は原則として寄附金額のうち、
自己負担額2,000円を除く金額すべてが還付されるとされていますが、
寄附した金額がいくらであっても、
自己負担額2,000円に収めることができるわけではありません。
自己負担額を2,000円に収めるためには、
それぞれの所得や家族構成などに基づく
「寄附金上限額」に寄附金額を収める必要があります。
もしも、「寄附金上限額」を超えた場合はどうなるのでしょうか?
超えた部分は「純粋な寄附」となり、
超える部分からは税金の還付を受けることはできません。
「寄附金上限額」は総務省のふるさと納税ポータルサイトを始め、
ふるさと納税の申し込みができる民間のポータルサイトでも
確認できるようになっています。
こんなはずじゃなかった、とならないためには、
予めご自身の「寄附金上限額」を確認しましょう。
ワンストップ特例は楽できるけれど、還付受け取りがあいまいになりがち。
ふるさと納税利用にあたっては、
税金での還元を受けるにあたり申告が必要ですが、
ワンストップ特例制度を利用することによって、
給与所得者や年金生活者など、
一定の要件を満たせば確定申告なしで
還付をうけることができるようになっています。
(※給与所得者の方であっても住宅ローン控除を初めて受けるなど、
確定申告が必要な年にはワンストップ特例を利用することはできません。)
確定申告との違いはどのようなものなのでしょうか?
以下の2点が挙げられます。
ワンストップ特例を利用する場合、
住民税から還付額がすべて差し引かれることになりますので、
還付を受けることができるのは、
寄附をした年の翌年となります。
給与所得者の方であれば、
住民税はさらに12ヶ月間にわたって分割して給与から天引きされるようになりますので、
基本的には還付額を1年かけて、
手取り給与が増えることによって回収していくことになります。
そのため、まとまった金額の寄附を行っている方ではない限り、
1ヶ月あたりの還付額は寄附額に対し、少額になりがちです。
ふるさと納税の実質自己負担2,000円で
さまざまな品物を受け取ることができるというメリットの享受は、
これらの増えた手取り給与額から寄附金として使ったお金を
しっかりと確保することによって、
はじめて可能になるのですね。
この様に、ワンストップ特例は確定申告の手間を省ける反面、
家計管理という視点でみれば、
とてもややこしく、混乱するタネとなりうる
やっかいな側面も持ち合わせています。
2022年の申告分(2021年の寄附分)から、
ふるさと納税の申告手続きが
簡素化されることになりました。
主な変更は以下の2点です。
「寄附金の受領書」の添付が不要に。
これまではふるさと納税の申告を
確定申告で行う際には
寄附先の自治体が発行する「寄附金の受領書」
を添付することが必要でした。
「寄附金の受領書」は寄附ごとの添付が必要だったため、
寄附の回数が多くなればなるほど書類の作成や保管など、
必要な書類や手間が増えていました。
「寄附金控除に関する証明書」は
いわば納税者が行った寄附内容を証明するまとめ資料です。
今回の変更により、「寄附金の受領書」に代えて
「寄附金控除に関する証明書」の添付で申告が行えるようになったため、
寄附回数が多い方であればあるほど、
確定申告の手間を大きく省くことができることが期待されます。
(※複数のポータルサイトからふるさと納税の申し込みを行っている場合は、
ポータルサイトごとに「寄附金控除に関する証明書」の発行が必要になります。)
「寄附金控除に関する証明書」の手入力(手書き)が不要に。
「寄附金控除に関する証明書」の入手方法は主に2つ。
郵送もしくは電子データです。
これまでは「寄附金控除に関する証明書」は手入力(手書き)が必要でしたが、
ふるさと納税の申し込みができるポータルサイトの事業者が発行したものを、
電子データでダウンロードできるようになりました。
(※事業者によっては2022年分の寄附分からの対応となるところもあるようです。)
「寄附金控除に関する証明書」を受け取ったら
あとは確定申告を行うだけ。
郵送で受け取った方であれば、
確定申告書に添付して申告を行うことができますし、
電子データで受け取った方であれば、
さらに以下の3つの方法から選んで
手間を省いた確定申告を行うことができます。
1.マイナポータル連携で電子データを一括取得して、
確定申告書に自動入力して申告します。
(※マイナンバーカードと事前準備が必要です。)
2.ダウンロードした電子データを
e-Taxで確定申告書に添付して送信します。
3.ダウンロードした電子データを
国税庁が提供する「QRコード付証明書等作成システム」で読み込み、
プリントアウトして確定申告書に添付して申告します。
今年からは、確定申告の負担を大きく減らせることが期待されます。
- 還付が一部すぐに受けられる。
- 地元への納税額が増える。
- トクする仕組みを作りやすい。
確定申告でふるさと納税の申告をした場合、
どのようなメリットがあるのでしょうか?
3つのうれしいポイントを解説します。
還付が一部すぐに受けられる。
前述の通り、ふるさと納税は要件を満たせば
ワンストップ特例を利用して申告を完了することも可能です。
しかし、ワンストップ特例の利用では全額が住民税額からの還付となるため、
基本的に翌年以降1年かけて回収しなければなりませんでした。
一方、確定申告を行えば、寄附金額の一部を所得税の所得控除として計算し、
所得税から還付を受けることが可能になります。
所得税の還付は申告後、通常であれば1ヶ月程度で受け取ることができますから、
ワンストップ特例を利用するよりもずっと早く
一部の還付金を受け取ることができます。
(所得税率が10%の方であれば、
自己負担額2,000円を除いた寄附金額の10%が
所得税から還付される金額の目安となります。)
地元への納税額が増える。
ワンストップ特例を利用する場合、
自己負担額2000円を除くすべての寄附金額が
地元に納めるべき個人住民税から差し引かれて納税者に還元されます。
これは、納税者に還元される金額がすべて、
日頃生活サービスを提供してくれている地元自治体には入らない様になる
ということを意味します。
一方、確定申告を行った場合、一部は所得税から還付され、
残りが個人住民税から還付されるようになります。
そのため、ふるさと納税を行う際は確定申告を行うことにより、
地元への納税額を増やすことにつながります。
トクする仕組みを作りやすい。
ふるさと納税を行って自己負担額2,000円でおトクを享受するためには、
還付された税金をしっかりと貯蓄に回す必要があります。
貯蓄をしないまま使ってしまうと、
還付を受けずただ消費を増やしただけとなり、
「ふるさと納税によってトクした」とは言えません。
ワンストップ特例を利用する場合は、
前述の通り毎月の給与から還付されますので
毎年のまとまった貯蓄スケジュールがない方にとっては、
寄附金額を増やすほどに、
還付を確保するということのハードルが高くなってしまいがちです。
一方で確定申告を行えば、
一定の金額がすぐに所得税から戻ってきますから、
所得の高い方であるほど毎月の給与から還付される金額が減り、
回収できていない毎月の還付分を確保しやすく、
トクする仕組みを作りやすくなることにつながります。
ふるさと納税は数々の返礼品の魅力から、
おトクさばかりに目が行きがちです。
しかし、しっかりとおトクを享受するためには、
返礼品だけではなくご自身が支払っている税金にも、
関心を向けることが求められていることは、
ご存じのない方も多いです。
税金もご自身で使うお金の一つです。
応援したい自治体を自ら選び、
経済的に自治体を支援することができる
ふるさと納税のよさを生かしながら、
よりよい社会につながるお金のつかい方を
自ら考えていく
きっかけとしていきましょう。
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