【令和3年確定申告】 知っておきたい家計に身近な変更点3つ

こんにちは、生活設計塾FPオフィス幸せ家族ラボ代表、
家計の総合医。ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

2月16日(水)から、所得税の確定申告書の受付が始まります。
(3月15日(火)まで)

身近なようで身近ではない税金。
所得税、住民税だけではなく相続税、贈与税など
暮らしにおける幅広い場面に組み込まれています。

実はそのルールは
定期的にマイナーチェンジされ続けていることをご存じでしょうか?

税制はいわば税金のルールです。
「税制改正」といって
税金のルールのマイナーチェンジが
毎年議論され、実行されています。

先日解説した住宅ローン控除の変更については
あくまで改正案、ということで
国会において可決されるまでは
まだ実行が確定されていませんが、
変更が見込まれているものの一つです。

一方で昨年の税制改正で施行がすでに決まっており、
確定申告においては今年の申告から
適用される変更点もいくつかあります。

今回はそんな今年の確定申告から適用される
確定申告の変更点について、
家計に身近な項目3つに絞って
解説します。

【 1 】令和3年分確定申告の変更点①
押印廃止

【 2 】令和3年分確定申告の変更点②
株式等の配当所得等の住民税の申告手続きの簡素化

【 3 】令和3年分確定申告の変更点③
セルフメディケーション税制の延長と申告手続きの簡素化

【 4 】まとめ

【 1 】令和3年分確定申告の変更点①押印廃止

確定申告を行う際、どのように申告されていますか?

確定申告書など、税務署提出書類はさまざまありますが、
税の申告手続きにおいては
近年電子化・簡素化が進んでいます。

マイナンバーカードを利用したe-Taxが象徴的でしょう。

そして、その流れを汲んでいるのでしょうか。
今年の確定申告から、押印が不要となっています。

書面で確定申告を行っている方は、
その書面に「印」の文字がないことを
確認されてみてくださいね。

【 2 】令和3年分確定申告の変更点②
上場株式等の配当所得等の
住民税の申告手続きの簡素化


投資信託を含め、投資をされる方が増えてきました。
上場している個別株式はもちろん株式投資信託を保有していると、
利益が出た場合に
配当金や普通分配金が受け取れるようになっていますね。

実は株式の配当金や株式投資信託の分配金の申告方法は3つあり、
そこから有利な方法を選ぶことができるようになっていることをご存じでしょうか?

選ぶことができる申告方法は以下の3つです。

1.総合課税

2.申告分離課税

3.申告不要 

基本的に、上場株式投資によって出た利益は
総合課税で確定申告することが原則とされています。
しかし、それでは給与所得者など、
日頃から確定申告をされていない方にとっては
申告のハードルが高く、
株式投資にも躊躇する要因にもなりかねません。

そこで、申告の手間を省けるように用意されたのが
申告分離課税と申告不要という2つの申告方法です。

これら2つの申告方法には共通点があります。
それは特定口座で取引を行うということです。
(※通常証券会社で口座をひらく際には、
特定口座を選ぶようになっているかと思いますので、
ほとんどの方は特定口座となっているかと思います。)

特定口座では
金融機関がその口座内で保有している投資商品の
譲渡損益を計算して
「年間取引報告書」を作成してくれる、
というデフォルトサービスが
備えられています。

この特定口座において「源泉徴収あり」を選んでいれば
利益が出た場合は住民税も含めた20.315%で源泉徴収され、
一方で損失が出た場合は
同一の特定口座内で損益通算が自動で行われます。

そのため、特定口座で「源泉徴収あり」を選んでいれば
申告不要とすることもできるのです。

一方、「源泉徴収あり」を選んでいても「申告分離課税」も選ぶことは可能です。

申告分離課税は取引している証券会社が複数あり、
その口座間で損益通算して所得税の納税負担を減らしたい場合に有効です。

前置きが長くなりましたが、
今年の確定申告で変更となったのは
上場株式などの配当等を受け取り、
総合課税を選んだ場合の、住民税の申告方法です。

総合課税では、事業所得や給与所得など、
総合課税の対象となるその他の所得と合算して、
所得によっては申告分離課税よりも低い税率で
税金額を計算することができるようになっています。
(配当控除も受けることができます。)

もう少し詳しくお話しすると、
申告分離課税を選んだ場合は、
通常であれば所得税+復興特別所得税15.315%、
住民税5%が適用されますから、
総合課税を選び所得税において
15%よりも低い税率を適用できるのであれば
所得税の還付を受け、税金負担を軽減できることになるのです。
(※特定口座「源泉徴収あり」の場合。)

しかし、その場合は住民税では、税率が10%に上がり、
住民税負担だけではなく、
ひいては国保料や介護保険料の負担増につながる恐れがあります。

そこで、総合課税を選択する場合は住民税のみ申告不要とし、
低い税率を維持することが可能になっているのですが、
これまでは所得税の確定申告をして
さらに住民税の確定申告書を提出しなければならない
と、その手続きが手間だったのです。

しかし、今年、令和3年分の申告からは手続きが簡素化されました。
所得税の確定申告書の第2表の下の方にある
住民税に関する事項の
「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄に
〇印を入れるだけで、
「所得税は申告」「住民税は申告不要」を選択できます。

負担が軽減され、とても便利になりそうですね。

ただし、残念なことにこのように簡素化された手続きで
住民税を申告不要とできるのは
今年と来年の申告分のみ。

令和4年度の税制改正により、
令和5年分からは、
所得税と住民税で異なる課税方式を選択できなくなる
見込みだそうです。

【 3 】令和3年分確定申告の変更点③
セルフメディケーション税制の延長と
申告手続きの簡素化

セルフメディケーション税制をご存じでしょうか?
健診や予防接種などを行っていて、
特定の市販薬を購入した費用が
1年間に1万2,000円を超える場合に、
税金の還付を受けることができる医療費控除の特例です。

対象となるのは、このようなマークが目印の医薬品です。

医療費控除では一般的に年間10万円を超える医療費を
負担した年しか控除をうけることはできませんが、
このセルフメディケーション税制では、年間1万2000円を超える額を特
定の市販薬の購入にあて、
ご自身で予防や健康維持等に取り組まれている場合に利用できま
す。

これまでは、セルフメディケーション税制を利用するにあたっては、

申告の際、健診や予防接種により
自ら健康維持・予防などへの取り組みを行っているということを
証明するための資料の添付が必要で、手間でした。

しかし、今年の確定申告からはそれら「取組関係書類」の添付が不要となり、
「特定一般用医薬品等購入費の明細書」に取り組みの名称を記載して提出すれば
申告を完了できるようになりました。
※「取組関係書類」は自宅で5年間の保管が必要です。

【 4 】まとめ

税金については、
その範囲が広いゆえに学ぼうともどこから手を付ければよいのか、
頭を抱えてしまう方も少なくありません。

しかし税金はご自身で使うお金の一つであり、
身近な生活サービスに利用されているなど
案外近いところに存在しています。

できることから関心を持ち、
暮らしの中に組み込みながら、
理解を深めていきましょう。

せっかくの「納税者有利」の原則も知らなくては活用できません。

毎日は選択の積み重ねです。

あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、
総合的で長期的な視点に基づくファイナンシャルプラニングと
心を耕す生活設計で応援しています。

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