知っておきたい 住宅ローン金利、基本のキ

こんにちは、生活設計塾FPオフィス幸せ家族ラボ代表、

家計の総合医。ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

今朝の日経新聞で
3メガバンクの10年固定住宅ローンの金利が
6年ぶりの高水準となると報じられていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB317D30R30C22A1000000

 

すまいの安定を図ることは、
持続可能な家計の構築においては
とても重要なポイントです。
一方で住宅は高いお買い物であり、
マイホーム取得にあたっては
住宅ローン選びや資金計画など
それまでは触れたこともなかったであろう
さまざまな問題が露出します。

 

加えて長い借入期間の間には経済情勢の変化に伴い
前述のようなさまざまな変化も生じます。

長期間住宅ローンの返済を続けるにあたって、
金利は必要な知識です。
しかし、金利をとりまく状況は住宅ローンに限らず
さまざまな要素が絡み合い
その時々に触れるニュースも、
その奥にある本当の意味を理解するのが難しい場合も少なくありません。

 

そこで今回はマイホームを取得するにあたっては
しっかりと踏まえておきたい金利の基本的な知識から、
住宅ローンを選ぶ際にはどのような注意点にあるのかなど
家計の総合医の視点で解説します。

【 1 】金利ってなに?
【 2 】住宅ローンの金利タイプ3つ
【 3 】金利の注意点2つ
【 4 】まとめ 

【 1 】金利ってなに?

 

金利は1年間お金を借りた場合に、
借入額(元金額)に対して、「1年あたりの利息額」がどれくらいになるのか、
その割合を示すものです。
「年利率」と表示されるのが一般的です。

利息とは、いわばお金の賃借料です。
お金を借入れる場合には返済の期間中請求され、
返済期間中ずっと
返済額に上乗せして支払う義務が生じます。

そのため、実際の借入れ時に支払う利息総額は、
金利が同じ場合、返済期間が長ければ多く、
短ければ少なくなります。

また、「利息」に似た言葉として「利子」もあります。
「利息」とほぼ同様の意味の言葉ですが、
細かく見ていくと、シチュエーションにより
使い分けられている場合が多いようです。

銀行の預金やクレジットカード、カードローンやキャッシングでは「利息」が、
ゆうちょ銀行の貯金や債券、税制においては
「利子」が使われるのが一般的なようです。

【 2 】住宅ローンの金利タイプ3つ

住宅ローンには、主に以下の3つの金利タイプがあります。

・変動金利型

・固定金利期間選択型

・全期間固定金利型

借入れ当初の金利が同じだとしても、
それぞれの金利タイプによって
返済期間中に生じるメリット・デメリットは異なります。

住宅ローンを契約する前には、
しっかりと押さえておきたい
3つの金利タイプの概要を解説します。

・変動金利型

その名称の通り、「金利が変動」するタイプです。

短期金利の動きとの関連性が高く、
変動金利型住宅ローンの適用金利は、
例えば短期金利が上昇すると上昇する傾向にあります。

日銀が発表する「短期プライムレート」を指標とするものが多いですが、
中にはその他の市場金利に連動するものもあります。

変動金利型住宅ローンは、借入期間中
半年ごとに金利が見直される一方で、
返済額は急激に増加しないよう、5年ごとに見直すのが一般的です。
また、その変動幅は従前の返済額の1.25倍までとしているものが多いです。
そのため、5年ごとに返済額を見直す住宅ローンの場合には、
金利が上昇する局面では、返済額の上限があるがゆえに
利息の割合が膨らみ、未払い利息が発生したり元金がなかなか減らない、
といった事態に陥る可能性もあります。

金利がこれから下がるのであれば、変動金利は当面有利ですが、
住宅ローンの返済は一般的に30年程度続きます。
返済計画を持続可能なものとするには、
あらかじめ返済期間中の金利と繰り上げ返済を含めた返済計画を
総合的に見通す視点が大切です。

暮らしの健康を維持することを第一に考えれば、
変動金利を利用する場合は、
他の金利タイプと組み合わせたりして10年程度で返済できる金額に
とどめておく方がおすすめです。

ちなみに、変動金利の利用中はいつでも
固定金利選択型に切り替えることができますが、
その際は手数料がかかる場合も多いです。
切り替え時には、適用金利は上がることを想定し、
こまめに金利動向をチェックしましょう。

・固定金利期間選択型

固定金利期間選択型の住宅ローンは、
借入当初から一定期間の金利が固定される住宅ローンです。

取り扱い金融機関が多く、
2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年、25年など、
金利が固定される期間も様々です。

固定金利期間終了後は、
改めて変動金利型や固定金利期間選択型を選びますが、
金利はその時点のものが適用されます。

また、その際は一度変動金利型を選ぶと
再び固定金利期間選択型を選べない商品もあるため、
あらかじめ確認しましょう。

一般的に、固定金利期間が短いタイプほど
金利が低い傾向です。

商品によっては、当初の適用金利が同じであっても、
当初割引幅が大きい結果金利を下げられているものもあります。
固定期間終了後の金利割引幅は商品によって異なります。
固定期間終了後の金利割引幅が小さくなる商品もありますから、
固定金利期間選択型を検討する際には、
あらかじめ割引幅を確認しましょう。

・全期間固定金利型

借入期間中に適用される金利が
あらかじめ決まっている住宅ローンです。

いつの時点の金利がずっと適用されるのかは
借入先によって異なりますが、
融資実行時か申込時点のいずれかです。

フラット35のように、返済期間中ずっと金利が変わらないものと、
当初10年間と11年目以降で金利が異なる「段階金利」のものがあります。

段階金利の場合は、通常11年目以降など途中で金利は上がるものの、
あらかじめ金利は確定しているため、
金利が全期間かわらないタイプ同様に
返済期間中の金利を見通すことができます。

いずれも住宅ローンの利用者にとっては金利上昇によって
利息負担が大きくなるリスクを軽減できるため
安心感とともに金利上昇局面ではメリットがありますが、
貸し手となる金融機関にとっては、
変動金利などと比べるとリスクが大きくなります。
そのため、民間住宅ローンにおいては規模の大きい金融機関に
利用が限定される傾向です。

それゆえ、地方在住の方にとっては、フラット35が
現実的な選択肢となる場合が多いでしょう。

一方、金利が固定されるがゆえに、不利な局面もあります。
すでに金利が高く、今後下がることが見込まれる局面においては
変動金利の方が有利です。

【 3 】金利の注意点2つ

1.金利にはさまざまな表現方法がある。

金利にはさまざまな表現方法があります。
住宅ローンを契約する前には特に知っておきたい
以下の3つの表現方法について解説します。

・店頭表示金利

・優遇金利

・適用金利

①店頭表示金利

「基準金利」とも言います。
銀行のホームページや不動産広告などに書いてある金利で、
いわゆる「定価」にあたる金利です。
実際に借りる際の金利は
この後解説する優遇金利などを差し引いた後の「適用金利」となります。

店頭表示金利は、景気など経済情勢によって上下します。
固定金利や変動金利など、住宅ローンの金利のタイプによっては
影響を受ける指標と金利の動き方は異なります。

フラット35と銀行の住宅ローンでは金利表示の仕方が違うことも
あらかじめ知っておきましょう。
フラット35では団信の保険料を上乗せした金利を表示しているのが
一般的ですが、
銀行の住宅ローンでは、団信の保険料を含まない金利を
表示している場合が多いです。

②優遇金利

一定の要件やキャンペーン期間を設定して、
それを満たした場合に基準金利から差し引く金利です。

いわゆる「割引」にあたる部分で、
「引き下げ金利」ともいい、
優遇金利がいくらになるかは
金融機関の戦略によって変わる傾向にあります。

適用にあたって提示される一定の要件は
金融機関によってさまざまですが、
一定の取引が条件となる場合が多いです。
給与振り込みの取引やクレジットカードの利用、
ローンの利用などもあります。
優遇金利利用にあたり、要件を満たすことは
ご自身にとって無理のないことがどうか、
あらかじめ立ち止まって考えてみることが大切です。

また、キャンペーン期間を設定している場合は、
申込期間などを限定して、店頭金利から一定割合を差し引きます。
変動金利や固定金利期間選択型に多く見られますが、
その場合は以下の2つの引き下げ方法が一般的です。

・「当初期間引下げタイプ」:引下げ幅が当初大きめだが、以降は小さめ。

前述のとおり、当初期間終了後は商品によっては
引き下げ幅に大きな差が出る場合もあります。
あらかじめの確認が必要です。

・「全期間一律引下げタイプ」:引下げ幅は小さいが全期間同じ。

全期間にわたり同じ引き下げ幅が適用されます。
途中で金利が変わる場合も、一律の引き下げ幅となります。
当初期間引き下げタイプと比較すると
引き下げ幅は小さめです。

③適用金利

実際に借り入れる際に適用される金利です。
優遇金利がある場合は、
店頭表示金利から優遇金利を差し引いた後の金利が適用金利となります。
いわゆる「割引後の金利」とも言えるでしょう。
全期間固定金利型であれば適用金利は変わらない一方で、
固定金利期間選択型や変動金利型の住宅ローンでは、
途中の店頭金利や優遇金利幅の変化によっては
急に金利負担が大きくなる可能性もあります。
住宅ローンを契約する前に、適用金利だけでなく、
優遇金利をしっかりと確認しておくことが重要です。

2.金利タイプによっては連動する指標が違う。

前述のとおり、住宅ローンの金利タイプは複数ありますが、
金利タイプによっては連動する指標が違います。

変動金利型は、一般的に短期金利に大きく影響を受けます。
多くの変動金利型住宅ローンが影響を受けるのは
「短期プライムレート」ですが、
これは金融機関が優良企業に短期で貸し出す際に利用する
最も引下げられた金利です。
また、短期プライムレートは
日銀が決める「政策金利」に影響を受けて変動します。

2年、3年、5年固定など短期間の固定金利期間選択型は、
一般的にそれぞれの期間に応じた金融市場の金利の影響を受けます。

10年以上の長期間の固定金利期間選択型は、長期金利に影響を受けます。
「10年物国債利回り」に連動するのが一般的ですが、
「10年物国債利回り」は日々変動します。

日銀が政策金利を引き上げたり引き下げたりするタイミングで変動する短期金利と比べると、
動きが多いのは長期金利です。

また、金利上昇局面では短期金利よりも、長期金利の方が先に上がります。

そのため、当初変動金利で借りていて、
金利が上がったら固定金利に切り替えようと考えても、
有利な金利条件をキープしながら固定金利に切り替えするのは
ほとんど不可能と言えるでしょう。
固定金利に途中で切り替えることを検討するなら、
金利が上がることは想定しておきましょう。

【 4 】まとめ 

現在さまざまな住宅ローン商品が発売されています。
住まいは安定した暮らしには欠かせないものですが、
取得する場合は多くの場合、高いお買い物となります。

どのような住宅ローンが適しているかは、
家計やそれぞれの事情によっても異なります。

また、マイホーム取得にあたっては、
必要保障額を確保できる保険や火災・地震保険の保険料、
固定資産税等納税資金や修繕費用など、
さまざまな確保すべきお金もあります。

当オフィスのマイホーム取得支援コースでは
家計の総合医の視点で、
それぞれのご家族のご希望と家計に合わせた
複数のマイホーム取得シミュレーションを実施しています。

有利な金利を選ぶにあたっては
シミュレーションは効果的です。

マイホーム取得にあたって少しでも不安を感じたら、
ご相談ください。

あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、
総合的で長期的な視点に基づくファイナンシャルプラニングと
心を耕す生活設計で応援しています。

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