【住宅ローン】変動金利を検討するなら知っておきたいポイント

2022.3.24更新

こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

 

変動金利と固定金利の差が大きくなりつつあります。
金利を比較していると、
変動金利の方が明らかに低いため、魅力的ですよね。

「住宅ローン利用者実態調査(2021年10月調査」」によると、
最近は67%の方が
変動金利を選んでいるそうです。(2021年4月時点)

 

マイホーム取得にまつわるご相談においても
「変動金利はどうですか?」
とお尋ねされることも少なくないです。

そうはいっても当オフィスをご利用いただく方は
最終的に変動金利を組み入れない方が多いですが、
家計やライフプラン、活用方法によっては
変動金利も選択肢の一つとできるでしょう。

しかし、変動金利で検討するのであれば
知っておくのがメリットばかりでは危険です。
しっかりとご自身でも押さえておきたい注意点は
確かにあります。

そこで、今回のブログでは
変動金利タイプの住宅ローンの基本から検討するなら
知っておきたい利用の注意点を3つ挙げ、
家計の総合医の視点で解説します。

【 1 】変動金利型住宅ローンの基本
【 2 】知っておきたい
変動金利型住宅ローン利用の注意点3つ
【 3 】まとめ

【 1 】変動金利型住宅ローンのきほん

変動金利型の住宅ローンはその名称の通り、
借入期間中に適用される金利が「変動する」タイプの住宅ローンです。

変動金利型住宅ローンには、以下のような特徴があります。

・短期金利に連動する傾向。
・借入期間中半年ごとに金利が見直される。
・返済額見直しは5年ごと。金利見直し後の返済額の上限は「125%」

適用される金利は、半年ごとに見直され、
短期金利の動きに連動する傾向があります。
日銀が発表する「短期プライムレート」を指標とするものが多いですが、
中にはその他の市場金利に連動するものもあります。

毎月の返済額は5年ごとに見直すのが一般的です。

また、金利を見直した際の返済額は急激に増加しないよう、
その変動幅は従前の返済額の1.25倍までとする
125%ルールを設けているものが多いです。
しかし、最近は本当にさまざまな住宅ローン商品があり、
はじめの数年金利を大きく下げる代わりに
125%ルールがないものもあります。
検討の際には商品概要説明書などをしっかりと読み、
チェックしましょう。

一方、返済額がそれまでの125%を上限とする変動金利型の住宅ローン商品も、
金利が上昇する局面では注意が必要です。
なぜなら、返済額の上限があるがゆえに利息の割合が膨らみ、
未払い利息が発生したりする可能性があるためです。
その場合は、元金がなかなか減らないことはもちろん、
よかれと思って繰り上げ返済をした場合には
かえって毎月返済額が増えてしまうといった可能性もあります。

なお、変動金利の利用中は
いつでも固定金利選択型に切り替えることができます。

【 2 】しっておきたい
変動金利型住宅ローン利用の注意点3つ

次に、変動金利型住宅ローンを検討する際には
知っておきたい注意点を3つあげ、解説します。

1.金利上昇の不安を常に抱える。
2.「金利が上がったら有利に固定金利へ切り替え」は無理。
3.いざという時に実際に合理的に動くのは難しい。

1.金利変動の不安を常に抱える。

返済期間中の金利が変動するということは、
つまりそれに伴い支払利息が増えるということですから、
毎月の返済額が増えたり減ったりする、ということです。

金利が上昇した際、
見直し後の返済額の上限が125%に定められているといっても、
実際に返済額が1.25倍に近くなると
家計には相当のインパクトがあります。

特に子育てをしながら
これから生活費や教育費の負担が増える可能性のある家庭では、
家計全体を見て
あらかじめの返済額上昇時のインパクトを計っておきたいところです。

例えば当初3500万円を35年変動金利0.7%で借り入れたAさんが、
借り入れ後10年経過し、住宅ローンの残債が約2500万円だった場合に、
金利が1%あがり1.7%になったとしたら、
返済額はいくらになるのでしょうか?

当初94,000円弱だった毎月返済額は
102,000円超に上がります。

現在の低金利に慣れてしまっていると、
金利が急に1%あがるなんてないでしょ?
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今実際に3月のフラット35の金利相場は前月比で0.08%上昇しており、
2月は0.05%上昇しています。
もしこれがこれから毎月続くとしたら
1年後にはほぼ1%金利が上昇していても不思議はありません。

変動金利の返済額の見直しは5年ごとですから、
こういった状況が続けば返済額見直しの際に
急に125%まで返済額が上がる可能性も十分あります。

前日のAさんの場合であれば、
返済額が1.25倍になれば毎月の返済額は117,500円に上がります。
そして裏で未払い利息も発生する可能性もあります。

もちろん、経済の先行きは誰にもわかりません。
金利上昇は一旦収まり、次回の返済額の見直し時期にも
ほとんど返済額が変わらないというシナリオもあるかと思いますが。

変動金利で借り入れるということは、
こういった金利変動にともなう返済額増加の不安を常に抱えるのだということは、
契約前にしっかりと認識しておきたいところです。

 

2.「金利が上がったら有利に固定金利へ切り替え」は無理。

変動金利を利用する際に、
「金利が上がったら有利に固定金利に切り替えよう」といって契約をされているかた、
少なくないように思います。

実は、これは不可能な話なのです。
なぜなら、変動金利は短期金利に連動しますが、
固定金利は長期金利に連動します。
また、金利変動のセオリーとして長期金利の方が短期金利よりも先行して動き、
かつ動きも大きい傾向にあります。
そのため、変動金利があがったことを実感してから
固定金利への切り替えを検討していると、
もうすでに固定金利は大きく上がっている可能性があるのです。

そのため、変動金利から固定金利への切り替えを希望する際には、
固定金利が上がりきる前に切り替えをする必要がありますし、
少なくともある程度の金利上昇を容認する必要があります。

 

3.いざという時に実際に合理的に動くのは難しい。

変動金利で借り入れて、世の中の景気を敏感にキャッチして、
金利が上昇しているな、とご自身で気づけた場合。
こういった場合でも実はその時に
ご自身で合理的な選択をできるとは限らないと思われます。
なぜなら、金利が上がったということは
これからまた下がるかもしれない、
という可能性も同時にあなたの頭の中に出てくるわけです。

そうした場合、人間の感情として損を避けたいという感情とともに
金利がまた下がることを期待して偏った考え方をしてしまいます。

ですから、いざという時には実際に合理的に動くことは
ご自身で思っている以上に難しいのだということは
認識しておいた方がいいでしょう。

もし、これらの認識を踏まえ、
金利上昇時には変動金利から固定金利に切り替えることを計画するのであれば、
世の中の金利変動をチェックしつつ、
切り替える目安金利をご自身であらかじめ設定しておいたりして、
「その時」がきたら淡々と切り替え手続きをすすめる、
といった準備をしておく必要があるでしょう。

 

【 3 】まとめ

変動金利型住宅ローンの基本と知っておきたい利用の注意点を解説しました。
変動金利は魅力的ですが、その反面さまざまなリスクもあります。

しかし、変動金利が必ずよくないというわけでもありません。

借入額を小さくしたり、予め計画性を高めたり、他の金利タイプと組み合わせたり、
しっかりとつぼを押さえれば金利の低さを活用して
有利に利用できる場面もあるでしょう。

当オフィスのマイホーム取得支援コースでは
シミュレーションを行うことで、まずは現在の家計を見える化しています。

家計を見える化することにより、
無理のない予算はもちろん、
さまざまな金利タイプを含めた採りうる選択肢は見えてきます。

これからの暮らしやお金にもやもやを感じたらぜひご相談ください。

住宅ローンの契約後も家計診断コースで対応しています。

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