【マイホーム】どうやって決める?無理ない予算

2022.3.31更新

こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

マイホームを買いたいな、と思ったらやっぱり気になるのはお金のこと。
実際にいくらなら無理なくかけることができるのかを
適切に算出することは
住宅ローンの「借りすぎリスク」を減らすことにもつながります。

でも、実際に本当に無理なく、
いくらの予算をマイホームにかけられそうなのか
を算出することは、思っている以上に複雑です。

なぜなら、マイホーム取得に伴って必要となるのは、
土地と建物というマイホーム本体にかかる費用だけではないからです。
団信や火災保険を初めとする住宅ローン借入にともなう費用や
資産取得にともなう税金や不動産登記のお金、
引越に伴う費用や家具家電等の購入費用など、
実にさまざまなお金がマイホーム取得にともない必要となります。

また、購入後も固定資産税や地震保険料など、
賃貸では不要だった費用があらたに発生します。

そのため、マイホーム取得にあたっては、
まずはマイホームそのもの(土地+建物)にかけられる予算を大まかでいいので把握することが、
「高すぎるお買い物」となることを防ぐファーストステップとなります。

そこで、今回はマイホーム予算の把握にあたって
一般的に参考にされることの多い3つのものさしをご紹介しながら
家計の総合医の視点で検証し、
最後に当オフィスで採用しているマイホーム予算診断方法をご紹介します。

【 1 】一般的なマイホーム予算のものさし3選
【 2 】当オフィスで採用している無理のないマイホーム予算の診断方法

【 1 】一般的なマイホーム予算の決め方3選

マイホーム予算を決める方法は一般的にどのようなものがあるのでしょうか?
採用されることの多い3つのものさしを検証していきます。

1. みんなの相場
2. 住宅ローンの毎月の返済可能額
3. 年収

1. みんなの相場

一般的に、今マイホームを買っている人が実際にいくらかけているのか、
統計調査結果をもとに
ご自身のマイホーム予算をはかる方法です。

例えば住宅金融支援機構が実施している「2020年フラット35利用者調査」では、
注文住宅や建売住宅など、さまざまな住宅の形態別に実際の取得者が
いくらくらいのお金を掛けているのか、という調査に基づき、
以下のような結果が公表されています。

土地付き注文住宅:4,397万円
建売住宅:3,534万円
マンション:4,545万円
中古マンション:2,971万円
中古戸建:2,480万円

ここではフラット35利用者調査の上記結果を例にあげ、
みんなの相場をマイホーム予算の参考にする際の
注意点を3つご紹介、解説します。

1. 地域による不動産価格の違いはわからない。
2. 住宅ローンの利息額は含まれていない。
3. みんなの相場は近年上がっている。

「フラット35利用者調査」の上記結果は、
ご覧の通り住宅の形態によりわけられているものの、
あくまで全国のフラット35を利用した方を対象とした調査結果の1つです。
土地は地域によって価格差が場合によっては大きくありますが、
そういった土地価格のばらつきは上記結果からはわかりません。
そのため、特に土地価格が相対的に安い地方に住んでいる方は、
鵜呑みにしてしまうとそもそも過大な予算決めをしてしまう恐れがあります。
また、上記調査結果には支払い利息額は含まれていないのだということは
心得ておきたいところ。
住宅ローンを利用するなら、元金返済とともに支払利息額が毎月加算されます。

ちなみに、フラット35は返済期間中ずっと利率がかわらない全期間固定金利の住宅ローンです。
マイホームを取得する際に住宅ローンを利用する方は多いですが、
近頃は変動金利を利用される方も増えてきています。
変動金利は固定金利と比べ、借入後の支払い利息が確定していません。
そのため、固定金利で借入れた場合とくらべ、
さらに高いお買いものとなる可能性があるのだということは、
知っておきたいポイントです。

一方、マイホーム取得に伴う費用の相場は
過去10年振り返ると上昇し続けています。
主な上昇要因となっているのは、土地価格ではありません。
主に建材などの材料費の高騰や
標準仕様となる住宅性能の向上でしょう。
資産運用の視点で見れば、今高値圏で推移し構造変化が起こっているところを
「買い」に行こうとしているということです。
マイホームであれば収益物件でもありません。
しかし、株式投資であれば、割高であってもその企業の将来の価値に基づく理論株価が
それを上回りそうであれば「買い」なのですが、
残念ながら不動産価格に理論値はありません。

万が一ローンの返済が厳しくなったりして
途中で売る際のリスクは大きくなっているのだということは
知っておきましょう。

(まとめ)

土地価格は地域によってばらつきがあり、取得価格は現在上昇中。
マイホーム取得に伴って必要となるお金は前述の通り、
土地、建物だけではありません。
利息を含め、取得時のその他の費用や維持費など、
その他のさまざまな費用がかかります。
そのため、みんなの相場をマイホーム予算のものさしとするのであれば、
もろもろの費用を踏まえた家計への
無理のない組み込みと検証が大切です。

2. 住宅ローンの毎月の返済可能額

 マイホーム取得にあたっては、
多くの方が住宅ローンを利用しています。
住宅ローンの毎月の返済額をものさしとしてマイホーム予算をはかる方法です。
具体的には返済負担率という住宅ローンの年間返済額が
年収に対して占める割合を算出し、
一般的には25%以内を目安にものさしとします。

ここでは、利用する際の注意点を3つあげ、解説します。

1. 手取り収入に対する割合ではない。
2. その他のランニングコストは含まれていない。
3. 借入の他、一時的に必要となるお金は含まれていない。

例えば年収600万円(ボーナス年2回・2ヶ月分ずつ)のAさんが
金利1.4%全期間固定金利で3000万円を35年間借入れるとき、
毎月の返済額は90,392 円で年間返済額は1,084,704円です。
このとき、返済負担率は18%です。
とても理想的な割合だと思われますね。

しかし、この返済負担率は
手取り給与を反映したものではないことには注意が必要です。
ご存じの通り、給与は雇用契約にもとづき支払われる金額を
まるまる受け取れるわけではありません。
税金や社会保険料などが差し引かれ、その後に残った金額を手取り収入として自由に使えます。
ちなみに税金や社会保険料は、
個別の事情により差はありますが、20%程度差し引かれています。

例えば前述のAさんであれば
毎月の手取り給与は約30万円、
ボーナスを含めた年間手取り給与は480万円程度となります。
この手取り給与から返済負担率を算出すると、
22%、ボーナスを考慮しないのであれば30%です。
そして、返済負担率算出においては、
団信保険料や固定資産税や火災保険料が含まれていません。
ローンで調達しない、一時的に支払うお金もまた
含まれていません。
団信保険料は表示金利に含む場合もありますが、
その他のランニングコストや一時的な支出額を考慮すると、
実際の家計の負担割合は変わってくるのだと言うことも
知っておきましょう。

(まとめ)

住宅ローンの返済は長い期間毎月続きます。
毎月の住宅ローンの返済額をものさしにするのであれば、
手取り給与ベースでの返済負担率も算出することをおすすめします。
また、頭金額やその他のさまざまな費用を家計から差し引いて、
取得後の家計のリアルな負担感を
さらに検証しましょう。

3.年収

年収に対して、マイホーム予算が何倍となるのか、
をものさしとしてマイホーム予算をはかる方法です。
マイホームイベントなどに参加して、
営業担当者の方などからは「年収の5倍から6倍が目安ですね」
と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
この基準に基づけば、
例えば前出のAさんであれば年収600万円ですので
3,000万円~3,600万円が適切だろうということですね。

この方法の注意点を3つあげ解説します。

1. 5倍から6倍ではブレ幅が大きい。
2. 実態は7倍前後で推移。
3. 年収は変わるかもしれない。

年収の5倍から6倍といわれても、
前出のAさんの場合であればその差は600万円。
自分の1年間の年収分という大きな差があります。
もし600万円を35年ローンで借入れて調達する場合(全期間固定金利、年1.4%)
約150万円の利息が乗っかって、
最終的には7,592,760 円。
さらに化けます。
マイホームという大きなお買い物の際には、
気持ちも大きくなりがちですが、
1倍の差といっても実際は1.2倍です。
利息を含めるとさらに差は広がります。
鵜呑みにして、安易に予算を増やさないように心がけましょう。

また、実態をみると、6倍を超え、
約7倍前後で推移しているという点も知っておきたいところ。
「2020年フラット35利用者調査」では、以下の様な年収倍率結果が出ています。

土地付き注文住宅:7.4倍
建売住宅:6.8倍
マンション:7倍
中古マンション:5.8倍
中古住宅:5.5倍

マイホームの形態によってもばらつきがありますが、
総じて新築なら7倍前後、中古なら6倍未満、
というところでしょう。
マイホームの相場は前述のとおり
過去10年近年上昇していますが、
実は年収倍率もまた上昇しています。
世帯主収入や手取り所得割合は横ばいですから、
マイホームの価格上昇を反映して年収倍率もあがっているのでしょう。

一方住宅ローンの返済は長期間続きます。
昇給もあれば、退職や勤務先の都合により下がる場合もあるでしょう。
当初の年収だけではなく、出口時点での年収予想も合わせて確認しましょう。

(まとめ)

年収倍率も上昇中。住宅ローン返済期間は長期に渉ります。
年収をマイホーム予算のものさしとするのであれば、
5-6倍に収めるには計画性が必須なのだということは
心得ておきましょう。

【 2 】当オフィスで採用している
無理のないマイホーム予算の出し方

これまで一般的にマイホーム予算をはかる
ものさしとなる方法を3つご紹介しました。
実際のところは、いずれをものさしにするにしても
マイホーム取得にあたってはさまざまな費用がかかります。
また、ライフステージの変化に応じて、
家計の支出額や資産額も変わってきます。
こういった点からも、取得時だけに焦点を当て、
狭い視野でみていれば
こんなはずじゃなかった、は容易に起こる、
ということはご想像いただけるのではないでしょうか。

こんなことを話していると、
じゃあマイホーム予算はどうやって考えたらいいの、
と不安でパニックになってしまいそうですが、ご安心ください。
実は適切なマイホーム予算を把握することは、
“つぼ”さえ押さえておけば簡単だったりします。

その“つぼ”は以下の通りです。

・現在の家計の実態
・マイホーム取得にともなって必要なお金の実態。
・マイホーム取得後の家計の変化の実態

当オフィスでは家計の総合医として、
これらの“つぼ”を確かに踏まえて
以下の様なフローで
マイホーム予算診断を行っています。
(※図は著者作成。無断転載・コピーを禁じます。)

マイホームは取得時期を早めれば早めるほど、
修繕費を含めた維持費用がかかります。
そのため、マイホーム取得に際しては、
当初のお金だけではなく、
マイホーム取得後の家計の実態推定を含めた予算診断することが大切です。

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心を耕す生活設計で応援しています。

参考資料:「フラット35利用者調査」

https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_flat35.html

「家計調査年報」

https://www.stat.go.jp/data/kakei/npsf.html

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