【こども総合保険】使えない保険にしないステップ

2022.4.14更新

こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

 

先日小学校に通う息子が、
始業式の日に子ども総合保険のパンフレットを
持って帰ってきました。
2冊も!

現在松山市内の小学校に通っているのですが、PTAをめぐる諸事情があり、
今年からこども総合保険を2つから選べるようになったようです。
もちろん加入者としては、
選べないよりも、選べる方がいいのですが、
2冊のパンフレットを読み進めれば読み進めるほど困惑!

正直、わけわからなくなってしまいました。

 

もちろん、こういった仕事をしていますので、
内容を深く理解して比較するための専門知識は十分に持ち合わせているのですが、
それでも困惑したのですね。

なぜかというと、
こども総合保険は一言で申し上げれば、
こどもの日常生活のトラブルに備える保険です。
ですから、補償範囲は広く、それゆえに比較がかなり大変なのです…

思えば、日頃のコンサルティングの際にも、
加入されている方は一定数お見掛けするのですが、
実際に詳しくお話しを聞いてみるといつ使えるのか、よくわからない、
という方が多いです。

これ、加入者が悪いだけではなくて、
商品をお勧めする側の責任だと思うんですよね…。
とはいえ、そんな不平を言っても世のなかはすぐには変わらないので、
今回は自分自身の頭の整理もかねて、
「こども総合保険」のきほんと最終的に「使えない保険」にしないためのステップについて、
家計の総合医の視点で解説していきます。

【 1 】こども総合保険のきほん
【 2 】「使えない保険」にしないステップ
【 3 】まとめ

【 1 】こども総合保険のきほん

こども総合保険は、
「こどもの日常生活のリスクに備える保険」ということは前述しました。
もう少し踏み込んで言えば、こどもも生きている限り、
トラブルを引き起こしたり巻き込まれたりしてしまう場合があります。
こども総合保険では、そのような子どもの日常生活の幅広いトラブルが起こった際に
必要となる突然の出費を補うことができます。

また、こども総合保険は主に子どもが通う学校を通じて加入します。
わたしのこどもが通う小学校から渡されたパンフレットの入った封筒には
「重要なお知らせです。必ずご覧ください。」と書かれていましたが、
あくまで加入は任意。
必要なければ加入する必要はありません。

ところで、今年、わたしのこどもが持って帰ってきたこども総合保険は2つありましたが、
いずれも保険料は最上位プランでも年間15000円から18000円程度でした。
月額にすれば1200~1500円程度です。
実は、子ども総合保険には保険料が割安という特徴があります。
なぜかというと、理由はいくつかありますが
一つはこどもが所属する小学校やPTAを通じて団体で加入するため。

もともと26000円から3万円程度の保険料が団体割引が適用され、
安い保険料で加入することができるようになっているのです。

とはいえ、こども総合保険は毎年自動更新。
解約の申し出がない限り、在学中は保険料の引き落としが定期的に実行されます。
小学校は6年生までありますから、6年間保険料を支払いつづけると
トータルで9万円~10.8万円に!
お子さんが二人いる場合は、年齢差があればあるほど、
トータルで支払う保険料は大きくなります。
保険は残念ながら保険金を受け取れる場合も、
ご自身で申し出ることをしないと受け取ることはできません。
そのため、加入前には保険料が安いからと安易の加入申込をするのではなく、
一度慎重に検討した方がいいでしょう。
ちなみに、保険金の請求には3年の期限があります。

【 2 】「使えない保険」にしないステップ

保険料は割安になっているといっても、
いつ保険を使えるのかわからなくて
結局「使えない保険」となってしまったらもったいないですよね。
ここではこども総合保険を「使えない保険」にしないステップについて解説します。

(※図は著者作成。無断転載・コピーを禁じます。)

1.こどもの日常生活にひそむ、
損害額の大きなトラブルをチェック

保険はみんなの万が一をみんなで助け合う「相互扶助」のしくみをもつものです。
ですから、本来はご自身の自助努力や社会保障を活用しても不足するような、
万が一の際損害額が大きくなるリスクに備える手段として活用するべきなのです。
(保険料を保険会社に寄附するつもりで使えなくてもいいから加入するという方であれば別ですが!)
そのため、保険会社ではなく、ご自身の利益を最大限に追求するためには、
保険によって備えるべき保険金額を適正に診断することが大切です。
こどもの日常生活のトラブルにおける急な支出に備えるこども総合保険についても、
実際に発生したとしても小さな損害額となる
トラブルへの備えを目的として入るのではなく、
実際に発生した場合に大きな損害額になるトラブルに備えて加入を検討するべきです。

 

では、こどもの日常生活において大きな損害額となる恐れがあるトラブルには
どのようなものがあるのでしょうか?
3つ例に挙げ、それぞれ解説します。

1.他人の死傷させてしまった!
2.他人のものを傷つけてしまった!
3.トラブル被害に遭ってしまった!

 

子どもは大人と違って発達が未成熟です。
そのために大人では考えられないトラブルに他人を巻き込んでしまったり、
巻き込まれてしまうことも考えられます。
加減がわからず自分自身がケガをしてしまうだけではなく、
お友達をケガさせてしまうこともあるかもしれません。
よくわからないまま、自分のものを壊してしまったり、
他人のものを壊してしまうこともあるかもしれません。
こういった場合、自分自身だけで完結するならまだいいのですが、
法的な賠償責任を負い、相手から償うように要求され、
示談交渉費用や賠償金の支払いが必要になる場合もあります。
また、近ごろは子どもといえど、
SNSやゲームなどを通じて世界中とつながることができますね。
SNSトラブルやストーカー被害も心配です。
万が一被害に遭ってしまった場合は、
カウンセリング費用や弁護士等への相談費用、
訴訟費用も必要になる場合もあります。

 

このように、こどもの日常生活におけるトラブルにおいて大きな損害となりうるのは、
引き起こしたのが自分であるかに関わらず、
トラブルを引き金として法的な賠償責任が発生し、
示談交渉や訴訟に至る可能性があるものと言えるでしょう。

保険に加入して備えるべきは、このようなトラブルです。
だからと言って、必ずみんなが用意すべき補償ともいえないかもしれません。
なぜなら、保険はあくまでご自身のリスクを移転する、
リスクマネジメントの手段の1つです。
加入を検討する前に、まずはお子さんの様子や活動状況を見て、
まずは話し合いを行うことで、
お子さん自身のリスクを避けたり低減することができるかもしれないからです。
目の前のお子さんにはどれくらいそれらのトラブルと近いところにいるのか、
親が推し量り、教えてあげることも大切です。


2.
補償内容を検討。

こども総合保険はさまざまな補償がセットになっています。
ケガ補償や個人賠償補償をはじめ、借りたものを壊してしまった場合の修理費用補償、
特定感染症等補償、弁護士費用補償や育英費用補償、救助費用補償など、
幅広い補償を含んでいます。

しかし、本当に必要な補償なのか、また必要な補償である場合も
新たにこども総合保険に加入して用意する必要があるのかどうかは
慎重に検討した方がいいでしょう。
なぜなら、例えばケガ補償であれば、
すでに小学校でほぼ全員加入しているであろう日本スポーツ振興センターの災害共済給付によって、
登下校中や授業中のケガであれば通院や入院にかかる医療費の給付を受けることができますし、
健康保険など公的医療保険に加入していれば、
それ以外のケガであっても、少ない自己負担で療養を受けることもできます。
(お住まいの市町村によっては助成があり、0割負担となるところも多いです。)

育英費用は保護者が死亡した場合に受け取れる教育のための補償ですが、
一般的な死亡保障とは異なりますので、
万が一の場合も受け取れる金額も少額です。
そして、多くの場合、すでに学資保険や死亡保険に加入されていますね。
これらの保障をすでに持たれているのであれば、
あらたに育英費用を用意する必要はない場合も多いでしょう。
借りたものを壊してしまった場合の修理費用補償では、
おそらく多くの方が心配されているのは
あらたに最近学校から貸与されることとなったタブレットなどではないでしょうか。

しかし、タブレットはそもそも貸与を前提とし、
学校の方ですでに故障や破損に備える保険に加入しています。
紛失については補償されませんが、子どもが誤って壊してしまった場合にも、
自己負担ゼロで修理を受けることができます。

紛失については、外出先に頻繁にもっていくなら心配ですが、
タブレットはWiFi環境がないと使えないようになっていますし、
YouTubeなども入れられません。
だから、そもそもの紛失のリスクはそれほど高くないと考えられるのです。
今あなたが心配されていることは、
もうすでに補償を備えている、といった場合も案外多いものです。
加入前に補償内容をじっくり検討することで、
目の前のお子さんにとっての必要性が
実際は低いことに気づける場合もあります。

3.内容を理解、申込。

お子さんにとって必要な補償と新たに加入する必要性が明らかになったら、
内容を慎重に確認し、申込手続きを行いましょう。
契約の際には、補償概要や重要事項説明書をしっかりと読むことが大切です。
慌ただしい中、文字が多くて読む気も起らないかもしれませんが、
期待していた学童保育での眼鏡の破損などは実は補償の対象外となるなど、
意外な落とし穴が見つかる場合もあります。

 

【 3 】まとめ

こども総合保険のきほんと「使えない保険」にしないためのステップを解説しました。
こども総合保険にはさまざまな補償が含まれている反面、
実際には目の前のお子さんにとっては不要なものも混ざっています。
ちなみに、家計の総合医として、
こどもの日常生活のトラブルに備えることを想定すれば、
今重視すべきは以下の3つの補償だと考えます。

・個人賠償責任補償(借り物への補償も含むもの。)
・弁護士費用補償
・新型コロナウイルス感染症発症による後遺障害補償


わたしが見た2つのこども総合保険においては
両方ともこれら3つの補償が含まれていましたが、
内容は若干異なっていました。
その他の補償の数を数えるよりも、これら重視すべき3つの補償内容の違いが
いかにご家庭に合っているかに注目して検討、加入した方が、
最終的にはいざという時に
あなたとお子さんを助けることになるでしょう。

 

商品の販売提案においては、ライフプランに沿ったお勧めはしてくれても
あなたの家計までは見てくれません。

 

こまごまとした補償内容の違いをどうやって比較したらいいのかわからない、
あなたが支払う保険料にもやもやするなど、
気になることがありましたらお気軽にお声かけ下さい。

コンサルティングでは見るべきチェックポイントもすっきりお示し、
あなたの選択を丁寧に根気よくお手伝いします。

 

 

あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、

 

総合的で長期的な視点に基づくファイナンシャルプラニングと
心を耕す生活設計で応援しています。

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