【2022年5月】知っておきたい 家計にまつわる企業型DCの変更点

2022.5.11更新

こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

 

自分年金がつくれる企業型確定拠出年金(以下企業型DC)。
企業型DCを導入する企業に勤め、
要件を満たした方しか加入できないものの、
掛け金を会社が負担してくれたり、コストの自己負担がなかったりと
公的年金に上乗せの自分年金をつくるにあたっては重宝するしくみです。

そんな企業型DCに関して、
2020年に決まった制度改正では
5月からいくつかの変更が加えられました。

そこで、今回のブログでは

企業型DCの基本から、
今年5月から実施された、知っておきたい家計にまつわる企業型DCの変更点について
家計の総合医の視点で解説します。

【 1 】企業型DCのきほん
【 2 】2022年5月以降施行される企業型DCの変更点
【 3 】まとめ

【 1 】企業型DCのきほん

まずはポイントを3つあげ、
企業型DCの基本について解説します。

1.企業が月々の掛金を拠出(積立)。

2.自ら運用商品を選び、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。 

3.実施企業に勤める従業員(国民年金第2号被保険者)が対象です。

企業型DCは一言でいえば、
企業が従業員に支払う給与から毎月一定の金額をつみたて、
従業員はあらかじめ用意された預金・保険・投資信託などの金融商品で自ら運用し、
60歳以降に一時金または年金で受け取る仕組みです。

自分年金にもかかわらず、会社が掛け金や運用期間中のコストを負担してくれるという
おトクな企業型DC。
その反面、実施企業に勤め、要件をみたした従業員しか
加入できないという側面があります。

iDeCoとは異なり運用期間中のコストは企業が負担してくれるため、
定期預金で積み立てたとしても資産が目減りすることはありませんが、
途中で転職をする場合は要注意です。
転職先に企業型DCがなく、iDeCoに加入した場合は、
あらたにランニングコストが発生します。
そのため、それまでのように定期預金で運用を続けると
運用資産からコストが徐々に差し引かれ、資産額は目減りしていくからです。

運用商品には預金・保険・投資信託といった複数の種類がある場合が多いですが、
ラインナップが少ない企業もあります。
どのような運用商品を選べるかは、
勤務先の企業が導入している運営管理機関やプランによって異なるためです。

ちなみに、ご自身がいくらまで掛け金を拠出できるかは、ご自身で決めることはできません。

基本的にその他の退職金制度の実施状況等に基づき、
掛け金額の上限が定められており、
その上限の範囲内で企業が指定した金額を拠出していくのが基本です。
(上限の範囲内で企業が指定した掛け金額からご自身で選べる場合もあります。)

出典:厚生労働省HP「確定拠出年金の拠出限度額」より

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/taishousha.html

一方、iDeCoとは異なり、掛け金を所得控除とすることはできません。

しかし、給与の一部を企業が企業型DCの掛け金と替えて、
税金・社会保険料の天引き前に個人の専用口座に積み立ていってくれるため、
給与として受け取るよりも税金・社会保険料負担が軽減される
というメリットを拠出の段階で受けることができます。

iDeCo同様、原則60歳前に資産を引き出すことはできません。
しかし、障がいを負った場合には要件をみたせば障害給付を受けることもできます。

【 2 】20225月以降
施行される企業型DCの変更点

20225月から実施される企業型DCにまつわる変更は以下の2点です。

1.加入可能年齢が65歳未満→70歳未満に

2.転職に伴う企業型DCから通算企業年金への年金資産の移換が可能に。

順に解説します。

 

1. 加入可能年齢が65歳未満→70歳未満に

これまで企業型DCに加入できるのは
要件をみたした65歳未満の従業員(国民年金第2号被保険者)の方でしたが、
5月以降は69歳まで加入できるようになりました。
これに伴い、60歳以降の要件も緩和されています。
これまでは60歳以降企業型DCに加入する場合は60 歳前と同じ企業で引き続き働く方に限られていました。
しかし5月からは厚生年金に加入して働いている方であれば、
60歳以降も企業型DCに加入できるようになりました。

 

2. 転職に伴う企業型DCから通算企業年金への年金資産の移換が可能に。

これまでは企業型DCに加入している方が転職する場合、
退職後の企業型DCへの掛け金拠出は継続できず、
退職から6ヶ月を期限とし、移管しなければいけませんでした。
これまでの移管先の選択肢は2つ。
しかし5月以降は企業年金連合会の通算企業年金を加えた3つになりました。

〈5月以降の転職後の企業型DCの移管先の選択肢〉

 ・転職先の企業型DC
 ・iDeCo(個人型確定拠出年金)
・通算企業年金

企業年金連合会の通算企業年金を移管先に選ぶと、
代わりに運用を行ってくれ、移管時の年齢により定められた
以下の予定利率に基づき増えた資産を原資として、年金を受け取ることができます。
※移管時には年齢・性別に応じた事務費(上限は34,100円)が差し引かれます。

(出典:「企業年金連合会通算企業年金のおすすめ」より)

https://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkin_tsusan/files/pamph_r040501_05.pdf

iDeCoでは運用資産の成長・維持を考えれば、
リスクを取った投資信託で運用する必要があるため、
転職先に企業型DCがない場合、ご自身で運用を苦手とする方や
リタイアまでの期間が短い方にとっては負担となっていました。
そういった方の場合、今後は通算企業年金を移管先に選択すれば、
追加の掛け金拠出はできないものの、
ご自身で運用内容を決めることなくそれまでの資産を運用し、
定められた予定利率にもとづく終身年金を受け取ることが可能となります。

【 3 】まとめ

5月から実施される、
家計にまつわる企業型DCの変更点について解説しました。

企業型DCは勤務先にあればとても助かるしくみですが、
転職を含め長く働くキャリアプランを想定すれば、
知っておきたい点もいくつかあります。

10月には、iDeCoとの併用要件が緩和されるといった変更も見込まれています。
(詳しい内容は今後こちらのブログでも書いていく予定です。)

リタイア後の長い人生にも選べる暮らしを望むのであれば、
リスクを取った運用を苦手とする方も
投資信託での運用にチャレンジをしておきたいところですが、
投資の一歩を踏み出したいときに安心して頼れる場所は案外多くありません。

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