【フラット35】上手な活用で150万円の負担減! きほんと2022年4月・10月の変更点

2022.6.6更新

こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

住宅にまつわる様々な価格が上がっています。
住宅ローン控除の変更については昨年末のブログでも書きましたが
脱炭素社会の実現に向けて、
高い省エネ技術基準を満たす住宅の質が求められており、
これから住宅を取得、将来的に売却するにあたっては
住宅の質にまで目くばせせざるをえない流れが出てきています。

とはいえ高い省エネ技術基準等、質を満たす住宅は、
コストもかさみがちに。
住宅を保有するということを長期的な視点で見れば
修繕費用もしっかりと生活設計に組み込んでいきたいところですが、
そもそも取得時にコストをかけすぎていると
将来の修繕費を捻出できない事態にも陥りかねません。

住宅を取得するにあたっては家計にとって適切な予算を算出し、
無理のない返済プランを立てることがとても大切です。

無理のない返済プランをたてるにあたっては
住宅ローンの適切な活用がカギになりますが、
住宅ローン商品も日々変化しています。
全期間固定金利で知られる「フラット35」も例にもれず、
今年大きな変更が2回予定されています。
(そのうち1回は4月よりすでに実行されています。)

そこで、今回のブログではフラット35のきほんから、
今年の変更内容について
家計の総合医の視点で解説します。

【 1 】フラット35のきほん
【 2 】2022年の変更点
【 3 】まとめ

【 1 】フラット35のきほん

フラット35は自らの住まいを取得する際に利用できる住宅ローンの一つです。
住宅金融支援機構の証券化スキームを活用しており、民間金融機関を通じて申し込むことができます。
住宅ローンを検討する際には、民間の住宅ローンや財形融資など公的住宅ローンも
選択肢となりますが、フラット35には主に以下のような特徴があります。

 

1.全期間固定金利
2.買取型と保証型がある。
3.審査基準が明確で借りる人の職業を選ばない。
4.物件の技術基準が明確。
5.ローン保証料、繰り上げ返済手数料が不要。

順に解説します。

1.全期間固定金利

フラット35はその名前の通り最長35年間借入可能な住宅ローンです。
借り入れにあたっては、返済期間中元金とあわせて
適用金利に応じた利息を支払う必要がありますが、
フラット35は返済期間中の金利がずっと変わらない「全期間固定金利」を採用しています。
そのため、元利均等返済であればずっと毎月の返済額が変わらない安心感を持つことができます。

2.買取型と保証型がある。

フラット35には買取型と保証型があります。

一般的に多く利用されているのは買取型です。
両者の間には若干の違いがありますので、
このブログでは「買取型」のフラット35について解説していきます。

3.審査基準が明確で借りる人の職業を選ばない。

住宅ローンを申し込む際には審査がありますが、
フラット35では審査基準が明確で、
借りる人の職業を選ばないという特徴もあります。

 

4.物件の技術基準が明確。

技術基準を証明するにあたり物件検査手数料が必要となりますが、
物件の技術基準が明確で、事前の物件検査により
住宅の性能や品質が購入前にわかるなどメリットもあります。
加えて省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性いずれかにおいて
一定の技術基準をクリアすれば「フラット35S」という
一定期間金利を引き下げる仕組みを活用することもできるようになっています。

ちなみに、フラット35Sには2つの種類がありますが、
金利Aプランでは当初10年間、金利Bプランでは当初5年間、
0.25%金利引き下げができます。
金利Aプランでは、現在ある程度厳しい基準を証明することが必要になっているため、
新築か築浅の中古住宅での利用が現実的な活用策となるでしょう。
一方で金利Bプランでは基準が緩やかで、
中古物件でも比較的利用しやすくなっています。

 

5.ローン保証料、繰り上げ返済手数料が不要。

フラット35では、場合によってはかさんでしまいがちな
ローン保証料や繰り上げ返済手数料が不要です。(融資手数料が必要です。)

フラット35では団体信用生命保険の加入も任意となっているため、
計画的に取得をすすめ、すでに大きな死亡保障などを備えているなどは、
返済期間中の総コストを減らせる可能性があります。

 

ちなみに、買取型のフラット35は、最終返済先は住宅金融支援機構となっています。
あまり考えたくないことではありますが、
万が一返済が困難になってしまった場合には、
返済方法を変更するにあたって適用される基準も明確です。

 

【 2 】2022年の変更点

2022年4月、フラット35では以下の様な変更が加えられました。

【2022年4月以降】

1.維持保全型がスタート
2.地域連携型(子育て支援)の金利引下げ期間拡大

順に解説します。

1.維持保全型がスタート

維持保全・維持管理に配慮した住宅を取得する場合に、
一定期間借入金利の引き下げを受けられるしくみです。
対象となるのは、以下のような物件です。

(フラット35下記資料より抜粋。https://www.flat35.com/files/400360184.pdf

全部で6つありますが、新築一戸建てに適用されるのは①の長期優良住宅のみです。
中古一戸建ての場合は④、⑤、⑥いずれかを満たす住宅が対象となります。

 取得する住宅に応じて、いずれかの要件を満たすことができれば、
当初
5年間0.25%金利が引き下げられます。
また、フラット35
Sとの併用も可能なため、例えばフラット35S金利Aプランとの併用で、
当初5年間
0.5%、6年目から10年目までは0.25%金利が引き下げられます。


(フラット35下記資料より抜粋。https://www.flat35.com/files/400360184.pdf

 

フラット35を利用する場合、実際に適用される金利は金融機関によって異なりますが、
最近は1.48%程度が多いようです(機構団信付き、融資9割以下の場合)。
仮にフラット35の金利を1.48%とする場合、維持保全型とフラット35S金利Aプランの適用によって、
当初5年間の金利0.98%にまで引き下げることが可能となります。
特に借入残高が多い当初5年間、金利引き下げによって得られるメリットは大きく、
例えば3000万円を30年、金利1.48%で借入れた場合の総返済額は、
当初5年の金利を0.5%引き下げることによって約90万円減らせる見込みです。

 

2.地域連携型(子育て支援)の金利引下げ期間拡大

地域連携型とは、子育て世帯や地方移住者等が利用できる、
一定期間金利を引き下げる仕組みです。
子育て世帯や地方移住者等に対する積極的な取組を行い、
住宅金融支援機構と連携する地方公共団体で住宅を取得する場合にのみ利用できます。
今回の変更により、子育て支援の金利引き下げ期間が10年に引き伸ばされました。

(※住宅金融支援機構HPより抜粋 https://www.flat35.com/loan/flat35kosodate/index.html

前述の維持保全型、フラット35Sとも併用でき、
最大で当初10年間0.5%金利が引き下げられます。
先程同様に、3000万円を30年金利1.48%で借り入れる場合と比較すると、
総返済額は約150万円減らせる見込みです。

10月にも以下のような変更が予定されています。 

【2022年10月以降】

1.フラット35S(ZEH)の開始
2.金利引下げ方法の変更
3.フラット35Sなどの基準見直し

順に解説します。

1.フラット35SZEH)の開始

フラット35SZEH)は取得する住宅が「ZEH」などの基準に適合する場合、
当初5年間0.5%、6年目から10年目まで0.25%金利引き下げが受けられるしくみです。

対象となるのは以下のような住宅です。

(フラット35下記資料より抜粋。 https://www.flat35.com/files/400360184.pdf

詳細はまだ公表されていないようですが、
高い断熱性能をベースとした高い環境性能が求められるようです。

 

2.金利引下げ方法の変更

金利引き下げ方法が「ポイント制」に変更される見込みです。
「ポイント」は以下の通り、住宅の性能や長く住んでいくための配慮の状況等に応じて加算されます。

 

合計ポイント数に応じて、最大当初10年間0.5%金利が引き下げられる見込みです。

(フラット35下記資料より抜粋。 https://www.flat35.com/files/400360184.pdf


3.フラット35Sなどの基準見直し

脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させるため、フラット35Sの基準が見直されます。
変更される基準の概要は以下の通りです。

厳しくなるものもあれば、緩和されるものもあるようです。

(フラット35下記資料より抜粋。 https://www.flat35.com/files/400360184.pdf

 

【 3 】まとめ

フラット35のきほんと2022年の変更内容について解説しました。
住宅は大きなお買い物です。
同時に国の施策によって
その活用策は大きな影響を受ける可能性があるものでもあります。

 人口が減り、選択肢が増える中、
今や住む場所は自らのライフステージによって
選べる時代となりつつあります。
住まいを所有するということは、良くも悪くも生活拠点を長期間固定するということ。
住宅の取得計画を立てるにあたり、
住宅ローン選びが中心になってしまっては本末転倒ですが、
これらの変化を踏まえ
家計にとって本当に持続可能な住まいとのかかわり方を
今一度じっくりと再考してみてはいかがでしょうか。

これからのあなたの未来において
住まいとのかかわり方に迷った時にはお声かけ下さい。

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買い手目線であなたの迷いを応援します。

あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、

総合的で長期的な視点に基づくファイナンシャルプラニングと

心を耕す生活設計で応援しています。

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