【2022年10月新たな壁出現!?】 無理のないキャリアプランに。 知っておきたい扶養の知恵

2022.8.17更新

こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。

ご自身の社会保険料や世帯主を含む税金負担を減らせる「扶養」のしくみ。
厚生年金と健康保険に加入して働く家族がいる場合にしか使えませんが、
保険料の負担なしで年金と健康保険に加入できるため、
こどもが幼いなど、思うように働けない時にはとても助かります。
最近はキャリアをある程度積んだ後に結婚された女性からのご相談も増えています。

実は「扶養に入る」と一口に言ってもいくつかの段階があることをご存じでしょうか。
特に最近は改正を重ね、
「扶養」の段階も増加していますが、それぞれに収入などにおける条件があり、
6つの「収入の壁」が出現しています。

そこで、今回のブログでは「扶養」にまつわる6つの「収入の壁」の基本から、
無理のないキャリアプラン活用にあたっては知っておきたい扶養活用の知恵を3つ挙げ
家計の総合医の視点で解説します。
現在扶養に入っている方を対象として書きますが、
これから扶養に入ることを検討される方にもお役立ていただけると思います。

【 1 】収入の壁6つ
【 2 】知っておきたい扶養の知恵3つ
【 3 】まとめ

【 1 】収入の壁6つ

※図は著者作成。無断転載・コピーを禁じます。

「収入の壁」とはご自身の社会保険料や税金の支払義務が新たに発生したり、
世帯主の税金負担が増えたりする境目となる収入金額を指します。
税金や社会保険料の負担が増えれば手取り世帯収入は減るため、働き方に影響を与えます。

「収入の壁」は現在6つありますが、大きく以下の2つにわけることができます。

1.税金の壁 4つ
:「100万円の壁」「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」

2.社会保険の壁 2つ
:「106万円の壁」「130万円の壁」

それぞれどのようなものなのでしょうか。
以下のAさんの家庭を例に挙げ、その違いを解説します。

●夫:会社員、年収600万円(大手企業勤務)
●妻:パート社員、年収60万円
(勤務先は従業員数120人の中小企業。勤務して半年。子どもが小学校に入ったのを機に今後勤務を増やしていきたいと考えている。夫の加入する社会保険の被扶養者。)
●子2人:小3、小1
●その他の収入:なし

「100万円の壁」

最初に現れる税金の壁の一つです。
通勤手当(月15万円まで)を除く年収(賞与・家族手当・残業手当等を含みます。)が
100万円を超えると住民税の支払いが発生します。

Aさん家族の場合であれば、妻がこれから仕事を増やしても100万円(月15万円までの通勤手当を除く)以下
であれば所得税とともに住民税の支払いも発生しません。
しかし、100万円を超えると住民税の支払いが発生します。

ただし、お住まいの市区町村によっては、100万円以下でも住民税の支払いが発生する場合があります。
住民税には均等割と所得割がありますが均等割については、
所得割よりも納税義務が発生するボーダーラインを下げている市区町村もあるためです。
ちなみに、松山市の場合であれば、均等割もかからないのは96万円で、
宇和島市であれば93万円が住民税の均等割もかからない壁となります。

「103万円の壁」

100万円同様税金の壁の一つで、所得税の支払いが発生するボーダーラインです。
Aさん家族の場合であれば、通勤手当(月15万円まで)を除く
妻の年収が103万円を超えると妻自身に所得税の支払いが発生します。
新たに発生する所得税は103万円を超える部分の5%。
年収105万円であれば住民税とあわせても年間3,000円程度なので税金負担は大きくありません。

ただし、場合によってはもう一つの壁が存在します。
「手当の壁」です。
例えばAさん家族を例に挙げれば、大手企業に勤める夫は
勤務先から「配偶者手当」を受け取っていました。
「配偶者手当」は企業が独自に行う手当ですが、
実施する多くの企業では受け取れる配偶者の年収のボーダーラインを103万円と定めています。
配偶者手当が月2万円出ていたとすれば、
妻が103万円を超えて働くことによる世帯収入の減額幅は年間24万円程度になります。
最近は配偶者手当を採用しない企業も増えつつありますが、
現在配偶者手当を受け取っているご家庭は、
所得税の負担増よりもこちらの方が家計に大きな影響を与える可能性があります。
あらかじめ給与明細で確認しておきましょう。

「106万円の壁」

社会保険の壁の一つです。一定の条件を満たしている場合、
社会保険料の負担が発生するボーダーラインです。
この場合の年収は賞与や残業手当、通勤手当は含みません。

一定の条件とは以下のとおりです。

※図は厚生労働省・日本年金機構リーフレットより抜粋。

実は社会保険に加入できる要件の改正が10月に見込まれています。
Aさん家族の場合であれば、妻の勤務先は従業員数120人であるため、
例えば年収を108万円(月9万円)に増やしても
9月までは社会保険料の支払い義務は発生しませんが、
10月以降は社会保険料負担が発生します。

社会保険料には例えば厚生年金保険料や健康保険料、介護保険料などが含まれます。
それぞれの保険料は基本的にお給料額によって計算されます。

ざっくりと保険料額合計が知りたいなら、毎月のお給料額に15%を掛けてみてください。
例えば月9万円であれば、毎月の社会保険料額は月13,500円です。
後述しますが、もちろん社会保険に加入するメリットは大きなものがあります。
しかし毎月この支払いが発生すると想像すれば、
思わず働き方を考えてしまいそうな金額ですよね。

「130万円の壁」

社会保険の壁の2つめ、勤務先の従業員数に関わらず、
社会保険料の負担が発生するボーダーラインです。
「106万円の壁」とは異なり、賞与や残業手当、通勤手当などを含む
年収が130万円以上となるとあてはまります。

発生する社会保険料は前述のとおり、基本的に毎月のお給料額によって決まります。

「150万円の壁」

税金の壁の3つ目、世帯主の税金負担が増え始める配偶者の年収のボーダーラインです。
税金負担額はもうけ分とそれぞれの事情に配慮した控除を差し引いた課税所得を
割り出したうえで計算されますが、
課税所得から差し引ける「配偶者控除」が段階的に減っていくためです。

国税庁ホームページより抜粋。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm

「201万円の壁」

「150万円の壁」で前述した世帯主の「配偶者特別控除」がゼロになるボーダーラインです。
厳密に言えば配偶者の収入が201.6万円以上の年収
(月15万円までの通勤手当を除く。賞与・家族手当・残業手当等を含む。)になると、
「配偶者特別控除」の適用がなくなります。
「配偶者特別控除」がなくなる影響は世帯主の年収が上がるほどに大きくなります。

【 2 】知っておきたい扶養の知恵3つ

これら6つの収入の壁を踏まえ、無理のないキャリアプランにあたって
知っておきたい扶養活用の知恵を3つ挙げ、解説します。

1.自分の税金負担はさほど増えない。
2.社会保険料は納付が増えれば保障も厚くなる。
3.収入を増やしても手取り収入が増えないこともある。

1.自分の税金負担はさほど増えない。

収入の壁には税金の壁と社会保険の壁の2つあることは前述しました。
税金の壁を超え、税法上の扶養から外れることによる家計への影響は、
社会保険の扶養から外れるほどには大きくありません。
所得税は所得額が増えるほどに税率が上がり税負担も増えるしくみとなっています。
そのため、例えば201万円の壁を超えたとしても家計に増える負担は年間10万円程度です。
一方で社会保険の扶養を外れる場合、
家計に増える負担は年収108万円の場合でも17万円程度となることが考えられます。
配偶者手当があるようであれば、さらに負担は増えるでしょう。

2.社会保険料は納付が増えれば保障も厚くなる。

社会保険の扶養を外れると思わぬ大きな負担となることは前述しましたが、
必ずしも悪いことばかりではありません。
社会保険に自ら加入することでもしもの時には
手厚い保障を受けることができるようになります。

例えば障害を負った場合には要件を満たせば障害基礎年金とあわせて
障害厚生年金を受け取れるようになりますし、
障害厚生年金は障害基礎年金は受給できない2級よりも軽い3級の障害の場合でも受け取ることができます。

そして病気やケガでお給料がもらえない休業期間には、
要件を満たせばお給料の6割程度が受け取れる傷病手当金もありますし、
出産に伴う一定の休業期間には同じくお給料の6割程度が受け取れる出産手当金も受給できます。

また、年金加入によりご自身万が一の際に子どもが受け取る遺族年金も増やすことができますし、
ご自身が老後に受け取れる老齢年金額も増えることとなります。
特にご自身が生きている限り受け取れる老齢年金は
今の長寿社会と夫に先立たれることの多い妻の状況を想定すれば
見逃せない備えとなることでしょう。

※例外もあります。個別の事情と照らし合わせて確認しましょう。
※図は著者作成。無断転載・コピーを禁じます。

3.収入を増やしても手取り収入が増えないこともある。

 税金や社会保険料を支払いつつも、収入を増やすことができれば家計にプラスになるものの、
家庭によっては収入を増やしても
一時的に世帯の手取り収入が下がる場合があります。
なぜなら前述のとおり、社会保険料の負担は大きく、
それを超える収入を稼ぐことが必ずしもすぐに実現できない場合もあるからです。
特に子育てや介護をしている場合は
思うように働く時間を確保できない場合もあるでしょう。
でも、たとえば前述のAさんの妻のように年収108万円の場合でも、
10年間厚生年金に加入すれば年間6万円程度の年金を増やすことができます。
そしてそれを30年間受給できれば180万円受け取れる年金が増えたことになります。
一方10年間で負担した社会保険料は約162万円です。(15%で概算した場合。)
目先では損をしているように思えても、
長生きの視点で見てみると計算上は得をすることがわかります。

【 3 】まとめ

6つの「収入の壁」と知っておきたい扶養の知恵について解説しました。

「扶養を抜ける」というと身構えてしまうこともあるかもしれませんが
前述のとおり、税金負担はさほど大きくありませんし、
実際には節税の手段もいくつかあります。
また、扶養に入っていると忘れてしまいそうになりますが、
そもそも年金や健康保険は保険です。
保険料を支払う加入者が万が一の時の保障を支払った保険料に応じて受け取れます。

年を重ねるといずれは働けなくなる時が来ます。
その時頼りになるのが年金ですが、その時に受けとれる給付も、
支払った保険料に応じて増減します。
※厚生年金部分。

年金制度は今、時代の変化の中節目を迎えているのではないかと感じることがあります。
不透明なことの多い今ですが、
ご自身で確実に積み重ねることができることも確かにあります。
だからこそ、目先の損得ではなく、
長期的な視点で無理なくご自身の暮らしを豊かにできる選択を
見出していくことに価値があるのではないでしょうか。

当オフィスの家計診断コースでは
ライフプランシミュレーションにより、
まずは税金や社会保険料、保育料や年金受給額を含めた
今と未来の家計を見える化しています。

適切なシミュレーションには
自分では気づかなかった
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これからの暮らしやお金にもやもやを感じたらぜひご相談ください。

あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、
総合的で長期的な視点に基づくファイナンシャルプラニングと
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