こんにちは、家計の総合医。
ぐっすり眠れる家計運用コンサルタントの内田英子です。
中学生までの子どもがいる世帯に給付される児童手当。
特例給付も含めば
3歳以上で毎月5千円~1万円が支給されます。
児童手当には税金もつかないため
何かと支出のかさむ子育て世帯にとっては
貴重な手取りを増やす手段の1つです。
ところがこの児童手当、10月以降一部の内容の変更が見込まれています。
あらたな所得制限が設けられ、
ある一定の所得のボーダーラインを超える世帯については
児童手当が支給されなくなります。
そこで、今回のブログでは、児童手当の基本から、
10月から変わる内容について具体的にはどういった世帯が受け取れなくなるのか、
ケースをご紹介しながら、
家計の総合医の視点で解説していきます。
児童手当は前述のとおり、中学生までの子どもがいる世帯に現金で給付される制度です。
1970年代初めに創設された制度で「家庭等における生活の安定」や
「次代の社会を担う児童の健やかな成長」などを目的としています。
当初は義務教育終了前までの第3子以降の子どもに限定されていましたが、
その後対象に第1子も第2子も含み金額も増額されるなど、制度は拡充されてきました。
現在の児童手当で受け取れる金額は以下のとおりです。
※図は内閣府「児童手当制度のご案内」より抜粋。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html
まず、3歳未満は一律月15,000円が給付されます。
3歳以降は基本的に月10,000円が給付されますが、
子が3人以上いる世帯では期間を限定して月15,000円に金額が増額されます。
金額が増額される期間は、第1子が高校卒業までで、かつ第3子以降の子が小学6年生までの間です。
とてもややこしいのですが、
それまで第3子に15,000円が給付されていたとしても、
途中で第1子が高校を卒業したりすると、
それ以降の給付額は月10,000円に減額されます。
児童手当を保険の支払いや積立に充当している方は、注意しましょう。
また、児童手当には所得制限があります。
一定のバーを超える収入を得ている世帯では、児童手当は打ち切られ、
代わりに特例給付として毎月5,000円が給付されます。
特例給付に切り替わる収入額の目安は、
扶養人数等によっても異なりますが、年収880万円程度です。
※給与収入の場合。事業収入の方は収入から必要経費を差し引いた後の金額をもとに、
所得額を判定します。
いずれの場合も共働きの場合は、高い方の年収で判定されます。
特例給付に切り替わる所得額と収入額目安。
(図は令和3年9月1日内閣府子ども・子育て本部児童手当管理室「令和3年児童手当見直しに関する全国説明会資料」より抜粋。)
まずはお住まいの市区町村へ「認定請求書」を提出します。
出生日の翌日から15日が提出期限です。
所得に応じて児童手当か特例給付か決定され、それぞれ一定の金額が
「認定請求書」で指定した銀行口座に振り込まれます。
振り込まれるのは、毎年6月、10月、2月です。それぞれの前月分まで4カ月分がまとめて振り込まれます。
また、一部の方は6月には受給対象かどうか確認する「現況届」を提出する必要があります。
引越などで住む市町村が変わった時にも申請が必要です。
注意しましょう。
2022年10月からは特定給付に所得制限が設けられることになっています。
これまで月5,000円支給されていたご家庭も、所得によってはゼロになります。
どのような場合に、特例給付がゼロになるのでしょうか。
特例給付が受けられるかどうかは、所得によって判定されますが、
所得は税法上の扶養家族の人数や一定の所得控除の利用状況によっても異なります。
ここでは、世帯主が扶養する家族の人数ごとに、
10月以降特例給付が受けられなくなるボーダーラインをご紹介します。
※図は著者作成。一切の無断転載・コピーを禁じます。
共働きで、世帯主が養っているのは生まれたばかりの子どものみ、
あるいは生まれたばかりの子どもを育てるシングルマザー/シングルファザーというご家庭が該当します。
この場合、世帯主の年収1,100万円以上のご家庭は10月以降の特例給付がゼロになる見込みです。
※所得控除は考慮していません。
※図は著者作成。一切の無断転載・コピーを禁じます。
先程と似ていますが、共働きで昨年末時点で世帯主が養う子どもは1人、
あるいは子どもを1人養うひとり親、というご家庭が該当します。
この場合、
世帯主の年収1,110万円以上のご家庭は10月以降の特例給付がゼロになる見込みです。
※所得控除は考慮していません。
※図は著者作成。一切の無断転載・コピーを禁じます。
こちらは共働きで、昨年末時点で世帯主が養う子どもが2人、
あるいは年収103万円以下の配偶者と子どもが1人いるご家庭などが該当します。
この場合は年収1,150万円以上のご家庭は10月以降特例給付がゼロになる見込みです。
※所得控除は考慮していません。
※図は著者作成。一切の無断転載・コピーを禁じます。
共働きで、昨年末時点で世帯主が養う子どもが3人、
あるいは年収103万円以下の配偶者と子どもが2人いるご家庭などが該当します。
この場合は、年収1190万円以上のご家庭は10月以降特例給付がゼロになる見込みです。
※所得控除は考慮していません。
いずれにしても、特例給付の所得は前述のとおり、
どちらか高い方で判定します。
そのため、同じ世帯年収1100万円超えでも、
たとえば夫700万円、妻500万円の世帯では引き続き、
月10,000円の児童手当を受け取ることができます。
特例給付がゼロになるボーダーラインとなる世帯主年収を扶養人数ごとにご紹介してきました。
実は児童手当等の受給のボーダーラインとなる所得は、
一定の所得控除の活用によって引き上げることもできるようになっています。
児童手当等のボーダーライン引き上げに活用できる所得控除は以下のとおりです。
雑損控除
医療費控除
小規模企業共済等掛金控除
障害者控除
ひとり親控除
寡婦控除
勤労学生控除
いずれも一朝一夕には増やせない所得控除が多いですが、
小規模企業共済等掛金控除の金額はiDeCoへ掛金を拠出することによって、増やすことができます。
例えばiDeCoに月2万円拠出すれば、24万円分児童手当等のボーダーラインを引き上げることができるということですね。
これにより、一度は廃止されてしまった特例給付も復活できる方も出てきます。
下の表をご覧ください。
こちらはiDeCoに掛金を月2万円拠出することで特例給付を再び受けられるようになる世帯主の年収をあらわしたものです。
※図は著者作成。一切の無断転載・コピーを禁じます。
※その他の所得控除は考慮していません。
例えば世帯主の年収が1,150万円で、子どもが2人いる場合、
iDeCoの拠出なしでは特例給付はゼロになりますが、
iDeCoに月2万円拠出することによって月5000円の特例給付は復活します。
児童手当の基本と10月からの変更内容について解説しました。
特例給付は毎月5,000円、子どもが中学校を卒業するまで給付されます。
金額にするとそれほど大きなものではありませんが、ちりも積もれば。
15年間の給付額はトータルすると90万円に上ります。
子どもの教育費にはまとまった金額が必要になります。
その一方で教育費だけを切り取れば“なんとかなる”部類のものだったりもします。
とはいえ、長期的な視点でみると、特例給付がなくなる影響は
そのあとにくる老後生活資金の準備に出てくるケースもあります。
だからこそ、児童手当等を受け取れる場合も、目先の視点ではなく、
長期的な視点でその活用方法を考えていくことが大切です。
ぜひ今回の変更を機に教育プランを改めて振り返ってみましょう。
そして、ご家庭で対処されることに限界を感じたら、お声かけ下さい。
あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、
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