【2023/4〜増額】出産育児一時金の基本と50万円もらえる人もらえない人

2023.3.27更新

こんにちは。ブレない自分と家計をつくる。
家計の総合医。ファイナンシャルプランナーの内田英子です。

出産の際、出産にかかる費用の給付を受けられる出産育児一時金。
国民健康保険や健康保険など、国の公的医療保険に加入する人が受けられるサービスです。

 

先日2023年4月以降、出産育児一時金の金額が最大50万円に増額されることが公表されました。
これまでは最大42万円でしたから差は8万円。大きな差ですよね。

 

そこで、今回のコラムでは
今となっては聞きにくい出産育児一時金の基本から
出産育児一時金を50万円受け取れる方の条件について解説します。

  1. 出産育児一時金の基本

  2. 2023/4〜の変更点:50万円に増額

  3. まとめ

1.出産育児一時金の基本

出産育児一時金とはどのようなものなのでしょうか。
まずはあらましについて確認していきましょう。

あらまし

 出産育児一時金は、前述のとおり一言で言えば出産時に公的医療保険から受け取れる給付です。
ケガや病気でお手当てが必要になった時に、必要な給付をする公的医療保険ですが、
正常分娩での出産は病気とは見なされません。
そのため、必要な処置等は保険適用外となり費用の10割負担が発生します。
ところが、出産には入院が必要ですから費用はかさみます。
夜間の分娩は時間外診療となり加算されますが、いつ始まるかもわかりません。
そこで出産に伴う費用の負担を補填するために設けられた制度が出産育児一時金なのです。

 

 受け取れる金額は子ども1児につき42万円です。
(産科医療補償制度未加入の医療機関で出産した場合は40.8万円です。※令和4年1月以降)
妊娠4カ月未満の出産の場合には支給されませんが、妊娠4カ月以上の出産であれば、
早産・死産・流産等の場合も受け取ることができます。
また、胎児数に応じてもらえるため、双子の出産であれば84万円支給されます。

受給要件

受給できるのは、公的医療保険の被保険者または被扶養者である配偶者、または配偶者以外の被扶養者です。
ただし国保には被扶養者という考えがないため、被保険者のみ受け取ることができます。
また、国保の被保険者の在留資格が1年未満の外国籍の場合、
生活保護を受給している場合は原則受け取ることはできません。

ちなみに、国保では、特別の事情なく保険料を1年半以上滞納している方の場合、
保険給付の全部又は一部が一時差し止めとなりますが、出産育児一時金等については、除外されています。
そのため、保険料の滞納がある場合も出産育児一時金が減額等されることはありません。

 

どうやって受け取る?2つの受取方法

出産育児一時金の受け取り方は以下の2種類あります。

1.直接支払制度
2.受取代理制度

 

「直接支払制度」は、本人に代わって医療機関が保険者(市町村や組合、協会けんぽ等)に出産費を請求する制度です。
2009年10月から始まり、現在は多くの医療機関で導入されています。
支給上限は42万円ですので、出産にかかった費用がそれよりも多かった場合も超えた部分のみご自身で支払えばいいので、安心ですね。

利用にあたっては医療機関から直接支払制度の説明を受けて、
医療機関に備えられている公的医療保険共通の合意書に記入、提出します。
その他の特別な申請は不要です。
ただし、出産費用が出産育児一時金の額より少ない場合には、差額が受け取れますので、別途申請が必要になります。
差額はある場合も大きな金額ではないと思われますが、
受け取りには2年の期限があります。
あれば受け取れることは、しっかりと覚えておきましょう。

 

「受取代理制度」は医療機関などが本人に代わって出産育児一時金を受け取る制度です。
主に診療所や助産所など小規模な施設で導入されています。

(参考)受取代理制度導入施設一覧(令和4年8月1日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000998778.pdf

受取代理制度を利用する場合には、「受取代理申請書」に記入し、保険者に提出することが必要です。
該当施設で出産を検討されている場合には、あらかじめ確認しておきましょう。

 

2.2023/4〜の変更点:50万円に増額

健康保険法改正により、2023年4月から出産育児一時金が最大50万円に増額されることとなりました。
出産育児一時金は1994年に30万円からスタートして以降、何度か引き上げを経てきていますが、
今回は8万円の引き上げ。過去最大の引き上げ幅となっています。

なぜこのように大幅に引き上げられることとなったのでしょうか。
背景には最近の出産費用の上昇にあります。

以下のグラフをご覧ください。
正常分娩の場合の出産費用の推移をあらわしたものです。

出典:厚生労働省『医療保険制度改革について』

 

右肩上がりに増え続けていることがわかりますね。
施設の種類によっても差はありますが、いずれも出産育児一時金の支給額上限である42万円を超えています。
ちなみに、出産費用には地域差もあります。
最も出産費用平均額が高いのは東京都でおよそ553,000円です。最も低いのは佐賀県のおよそ351,000円です。
(厚生労働省『出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について』より)
地域により最大20万円程度の差があることがわかります。

 

 

いつから適用される?

2023年4月1日以降の出産から上限を50万円として出産育児一時金が支給されます。

 

まとめ

2023年4月から増額される出産育児一時金の基本と受け取りの条件について解説しました。

今回は過去最高の引き上げ幅とのことですが、背景には出産費用の高まりがあることは見逃せません。
最近は光熱費も上昇しており、便乗して出産費用を値上げしている病院もあるそうです。
都道府県によってはなお足りないところもあることでしょう。
こんなはずじゃなかったと、ならないためにあらかじめ金額を確認しておきましょう。

 

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