こんにちは。見つける。ツクル。
家計の総合医。ファイナンシャルプランナーの内田英子です。
先日2024年度の税制改正大綱の内容が報じられました。
それによれば、来年度の税制改正では子育て世帯への税優遇が柱の1つとなる見通しのようです。
一方、来年以降児童手当が高校生まで拡大するのに伴い、扶養控除の縮小も盛り込まれています。
扶養控除を縮小しても児童手当の見直しによりすべての子育て世帯で負担増となることはないといいますが、
それなら子育て世帯にとってどの程度プラスとなるのかは気になるところですよね。
そこで、今回のコラムでは、2024年の税制改正大綱の子育て世帯に関わる税優遇の中から、
高校生の扶養控除の縮小と子どもがいる場合に利用できる生命保険料控除の拡大について採り上げ、
子育て世帯にはどの程度のプラスのインパクトがありそうなのか、ご紹介しながら家計の総合医の視点で解説します。
(※表は著者作成。無断転載・コピーは禁じます。)
高校生の子どもがいる場合、年末調整や確定申告により申請すれば、扶養控除を利用することができます。
扶養控除の基本についてはこちらの記事で解説していますので、ご参考下さい。
https://fplabo-happyfamily.com/2023/05/24/blog20230524/
高校生の子どもがいる場合にできる扶養控除は所得税38万円、住民税33万円です。
2024年度の税制改正大綱によれば、児童手当を拡大する2026年度以降、扶養控除を所得税25万円、住民税12万円に縮小するといいます。
控除額が減れば税金負担が増えることが見込まれますが、どの程度のインパクトがあるのでしょうか。
年収別に概算で扶養控除縮小により増える税金額をシミュレーションをしてみました。
シミュレーション結果は以下のとおりです。
(※表は著者作成。無断複製・転載は禁じます。)
扶養控除が縮小することにより増える税金負担は、年収が上がるごとに大きくなっていることがわかります。
しかし増加する税金額は年収1,100万円のケースでも47,600円です。
児童手当が来年以降拡大すれば、高校生までの子どもに1人あたり月10,000円、年間12万円が支給されるということですから、児童手当とあわせれば、トータルでは子育て世帯の負担増はなく、家計にとってはプラスとなることが期待されます。
ただし、やはり年収があがるにつれ、所得控除減額のインパクトは大きくなりますから、児童手当拡大で受けられる恩恵は減る見込みです。
生命保険料控除は、一定の要件をみたした生命保険・損害保険に加入し、保険料を支払っている場合に、その年に支払った保険料の一部を所得から差し引けるしくみです。
法改正を経て、現在は以下のとおり3つの区分があります。
(出典:国税庁 タックスアンサーより
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm )
生命保険料控除算出にあたっては、保険契約をいずれかの区分にわけ、それぞれの区分ごとに以下の計算式で計算します。
控除額は最高で12万円です。2011年以前の旧契約のものは別途旧契約の計算式にあてはめ計算します。
(出典:国税庁 タックスアンサーより
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm )
扶養控除の縮小とあわせて、2024年度の税制改正大綱では子どもがいる場合、
以下のとおり生命保険料控除が拡大されるとの内容も盛り込まれています。
所得税 最大4万円→6万円
住民税 最大2.8万円→4.2万円
控除額が増えるということは、税金負担の軽減も期待されます。
生命保険料控除をいずれかの区分で最大金額利用できるとして、年収別に減らせる税金額をシミュレーションしてみました。
シミュレーション結果は以下のとおりです。
(※表は著者作成。無断複製・転載は禁じます。)
所得控除の金額が小さいためインパクトは大きくありませんが、年収が上がるにつれ減らせる税金額は増える見込みです。
年収1,100万円の方なら年間5,000円程度税金負担が軽減できそうです。
扶養控除の縮小による影響をカバーできるほどではありませんが、生命保険料控除拡大を活用することで、児童手当拡大の恩恵を受けやすくなることが期待されます。
2024年税制改正大綱に盛り込まれた扶養控除の縮小と生命保険料控除の拡大のインパクトについて解説しました。
あくまで税制改正大綱であり、加えてこれから児童手当がどのように変わるのか、詳細はまだわかりませんし、財源についても気になるところですが、子育て中の家計にとってはプラスとなる流れになりそうです。
今回は子育て世帯に軸をおいた2つの所得控除の改正が盛り込まれましたが、所得控除はその他にもあります。
例えばiDeCoの掛金なら小規模企業共済等掛金控除となり全額所得控除となりますから、生命保険料控除が拡大してもなお、生命保険料控除よりも税金負担を減らす効果が期待できます。
早くから利用できれば保育料の減額に繋げられる可能性もあります。
手取りを増やしながら、あなたが元気に過ごせる暮らし設計に上手に活かしていきましょう。