【2024年税制改正大綱 定額減税】いくら?いつ?スケジュールと注意点、Q&Aなど

2023.12.20更新

こんにちは。見つける。ツクル。
家計の総合医。ファイナンシャルプランナーの内田英子です。

先日与党の税制改正大綱が発表されました。
内容は住宅に関連する制度の見直しや国保料の上限一部引き上げやの国保料の減額要件緩和など多岐にわたっていましたが、
定額減税の具体的な内容についてもある程度示されていました。

給付金とあわせて広く国民の所得を直接的にあげることをねらいとして行われるとのことですが、
期待する反面詳しく読んでいくと注意したいポイントも見つかりました。

そこで今回のコラムでは税制改正大綱にもとづき
来年度行われるという定額減税の内容や受取り方法、注意点などについてまとめていきたいと思います。

お役立ていただけましたら幸いです。

2024/6/5公開 定額減税の金額の確認方法のコラムはこちら

1.定額減税の金額
2.定額減税の方法①所得税(会社員・年金生活者・個人事業主)
3.定額減税の方法②住民税(会社員・年金生活者・個人事業主)
4.定額減税額の確認方法
5.定額減税の注意点
6.定額減税の疑問

1.定額減税の金額

まずは定額給付金の金額について確認していきましょう。定額給付金として支給される金額は以下のとおりです。

【所得税】本人 3万円
同一生計配偶者または扶養親族(居住者に該当するものに限る) 3万円/人

【住民税】本人 1万円
控除対象配偶者または扶養親族(居住者に該当するものに限る) 1万円/人

なお、定額減税の対象となるのは令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合、年収2,000万円以下)の納税者です。
合計所得金額が1,805万円を超える方は対象外となっています。
税金を支払っていない方には、かわりに別途給付金が支払われる見込みです。

2.定額減税の方法①所得税(会社員・年金生活者・個人事業主)

定額減税は納付する税金額を減額することで国民の手取り所得を上げようとこころみるものです。
税金の支払い方は働き方によって異なるため、定額減税の方法は働き方によって違ってくるようです。

所得税分については以下のとおりです。

(給与所得者の方)

2024年6月の給与等(賞与を含む)から天引きされる所得税から控除することで受け取れます。
控除しきれない部分の金額は令和6年中に支払われる給与等(同年において最後に支払われるものを除く)から順次控除されるとのことです。
加えて年末調整で、年税額から控除されます。

(年金生活者の方)

2024年6月の公的年金から天引きされる所得税から控除することで受け取れます。

(事業所得者等の方)

○予定納税する場合
:令和6年分の所得税の第1期分予定納税額(7月)から本人分にかかる特別控除の額に相当する金額が控除されます。
控除しきれない部分の金額は第2期分予定納税額(11月)から控除されます。
扶養家族がいる方は7月末までに申請手続きが必要です。

○個人事業主の方

令和6年分の確定申告書の提出の際に所得税額から特別控除額を控除します。

3.定額減税の方法②住民税(会社員・年金生活者・個人事業主)

住民税は所得割額から特別控除額を控除するかたちで実施されるようです。
具体的には以下のとおりです。

控除対象配偶者を除く同一生計配偶者(国外居住者を除く)については令和7年分の所得割の額から1万円を控除する。

(給与所得者の方)

6月分の給与の住民税は天引きなし。令和6年7月から令和7年5月まで11回に分割した金額が住民税額から控除されます。

(年金生活者の方)

令和6年10月の年金額から控除される住民税額から控除されます。
控除しきれない部分の金額は令和6年度中に特別徴収される各月分特別徴収税額から順次控除されます。

(自営業など普通徴収の方)

令和6年度分の個人住民税にかかる第一期分の納付額から控除されます。
控除しきれない部分の金額は第二期分以降の納付額から順次控除されます。

4.定額減税額の確認方法

定額減税のタイミングはそれぞれ違うため、ご自身で確認することが大切です。

確認方法は以下のとおりです。

【所得税】

(給与所得者の方)
給与の支払明細書と源泉徴収票の摘要欄に控除した金額を記載することとするとされています。
R6年6月分以降の給与明細やR6年度の源泉徴収票を確認しましょう。

(年金生活者の方)
源泉徴収票の摘要欄に控除した金額を記載することとするとされています。
R6年度の源泉徴収票を確認しましょう。

【住民税】

(給与所得者の方)
令和6年分の給与所得にかかる個人住民税の特別徴収税額通知に控除した額等を記載するとされています。
特別徴収税額通知を確認しましょう。

(年金生活者の方)
令和6年分の公的年金等にかかる所得にかかる個人住民税の特別徴収税額通知に控除した額等と記載するとされています。
特別徴収税額通知を確認しましょう。

(普通徴収の方)
令和6年度分の個人住民税の税額決定通知書に控除した額等を記載するとされています。
個人住民税の税額決定通知書を確認しましょう。

5.定額減税の注意点

・定額減税の方法は人によって違う

前述のとおり定額減税の方法は働き方などによって異なります。
まずはご自身の受取り方法を確認しておきましょう。

・個人事業主の方の所得税からの減額は再来年

予定納税をしていない個人事業主などの方の場合、住民税の定額減税は来年の6月頃から受け取れそうですが、所得税分は確定申告によって控除されます。
令和6年分の確定申告は再来年です。
受取りには長く待つ必要がありそうです。

・会社員の方の場合、分割されるため一度に受け取れる金額は多くない

会社員の方の場合、給与から住民税や所得税が天引きされていますからそこから控除するかたちで支払われる予定です。
受け取れるタイミング的には早いと思われますが、金額は分割されます。
一度にまとまって金額を受け取れるケースは賞与や年末調整など限られてくるでしょう。

6.定額減税の疑問

○支払っている税金額を定額減税額が上回る場合はどうなる?
→差額分が給付されるかたちになると思われます。
なお、給付は1万円単位で切り上げとなるようです。

○複数仕事をかけもちしている場合は、どこから減税を受けられる?
→支払われる給与は給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与等の支払者が支払うものに限る、とされています。
扶養控除等申告を提出した会社から支払われることが推測されますが、まだわからない点も多いです。
今後パンフレットなどの作成も見込まれているようです。情報を集めていきましょう。

○年の途中で扶養家族の変更があったら、どうする?
→手続きが必要です。
必要な手続きは以下のとおりです。
(給与所得者の方)
扶養控除等申告書に記載した事項の異動等により特別控除の額に移動が生じた場合、
年末調整により調整するとされています。
年末調整で異動の申告が必要です。

(年金生活者の方)
扶養控除等申告書に記載した事項の異動等により特別控除の額に移動が生じた場合、
確定申告により調整するとされています。
確定申告が必要となります。

○103万円の壁を超えて働いていますが夫は配偶者特別控除も受けています。どこから減税を受けられますか?
→同一生計配偶者等に係る分として所得税から控除できるのは原則として源泉控除対象配偶者で合計所得金額が48万円以下である方とされています。
また、住民税分は控除対象配偶者を除く同一生計配偶者(国外居住者を除く)については令和7年分の所得割の額から1万円を控除するとされています。

所得税分はご自身が年末調整を行う会社から受けられると思われますが、まだわからない点も多いです。
今後パンフレットなどの作成も見込まれているようです。
情報を集めていきましょう。

○ふるさと納税をしている場合、寄附できる上限額に影響はある?

→ふるさと納税の控除上限額を算出する際に基礎となる所得割の額は特別控除の額を控除する前の所得割の額とするとされています。
影響はでないと思われます。

 

まとめ

定額減税について今の段階でわかっている内容についてまとめました。
まだまだわからないことも多いですし、受取り方法も複雑ですが、せっかくのわかりやすい収入アップ。上手につかっていきたいですね。

令和6年度与党税制改正大綱 https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/207233_1.p