こんにちは。見つける。ツクル。家計の総合医。ファイナンシャルプランナーの内田英子です。
日銀がマイナス金利の解除を発表して以降、無担保コール翌日物レートもプラス圏に突入するなど、今後の金利上昇観測が高まりつつあります。
住宅ローンをこれから利用したいという方はもちろん、すでに借入れている方にとっても、今後金利がどのように動いていくのかは関心の高いところだと思います。
金利の動向は誰にもわからないものですが、金利が上昇すると家計にも影響がありますから事前に対策をたてておくことが大切です。そこで、今回のコラムでは対策をたてるにあたり知っておきたい、住宅ローンに関連した金利の基本について解説していきます。
まずは、これまでの住宅ローン金利の推移を確認しておきましょう。以下のグラフは荒いものですが、2000年以降の住宅ローン金利(代表的なもの)を拾って作成したものです。
こちらの結果を見てみると、変動金利は2009年以降変わっておらず、過去20年における金利水準は変動金利、固定金利ともに大きくは変わっていないということがわかります。ただし、固定金利は金利水準に大きな変化はないものの、金利に1%程度の幅があります。実際に住宅ローンの借入にあてはめると、以下のとおり毎月17,000円程度の負担増となる可能性があることには留意しておく必要があるでしょう。(適用金利が変わっても毎月返済額の増加幅は大きく変わりません)
これまでに住宅ローン金利は大きく変わっていないからと言って、これからも同じ状況で推移するとは限りません。住宅ローン金利は変動金利型と固定金利型、大きく2つの種類がありますが、それぞれの適用金利は金融機関ごとに定期的に見直されており、以下のとおり指標が異なります。
変動金利→短期プライムレート固定金利→長期プライムレート
※一般的な指標です。異なる指標を採用している金融機関もあります。
以下のグラフは荒いものですが、長短プライムレートと代表的な住宅ローン金利を拾って作成したものです。
変動金利は短期プライムレートの動きに、固定金利は長期プライムレートの動きに、似ていますね。変動金利型住宅ローンに適用する金利は今後、短期プライムレートの動向によっては上昇する可能性があるでしょう。これまでの水準と照らし合わせれば、長期プライムレートも一層上がる可能性が考えられます。10年固定金利の水準は現在年1.6%程度ですが、今後は年金利2.5%程度まで考えておいてもいいのではないかと個人的には考えています。
なお、短期プライムレートと長期プライムレートをもう少し細かく拾った結果は以下のとおりです。
金利が上昇する時、長期プライムレートは短期プライムレートに先んじて動く傾向にあることが推測されます。
マイナス金利は解除されたものの、短期プライムレートにまだ動きはありません。今後金利ある世界が現実のものとなれば、まずは優遇金利が縮小することが推測されますからはじめに影響を受けるのはおそらく新規で契約される方でしょう。すでに契約されている方の返済プランに影響がでるのはその後だと思われます。
これからマイホームを取得する方はご家庭の返済可能額を適切に把握し、またすでにマイホームを取得されている方は改めて返済プランを振り返り、ご自身にあった対策をたてていきましょう。