こんにちは。見つける。ツクル。
家計の総合医。ファイナンシャルプランナーの内田英子です。
一定の要件を満たす父母等の保護者に支給される児童手当。
子ども・子育て支援法等の一部改正に伴い、10月以降変更が見込まれています。
過去のコラムでも執筆段階で変更が見込まれる内容について触れさせていただきましたが、詳しい内容がわかってきました。
そこで、今回のコラムでは10月以降に施行される児童手当にまつわる5つの変更点についてお話ししていきます。
児童手当は原則子どもを育てる父母等の保護者に支給されるものですが、
これまで支給にあたっては手当を受け取る人の所得に以下のような要件がありました。
(出所:こども家庭庁児童手当Q&Aより https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/faq/ippan#qa2 )
なお、所得限度額を超える場合には、特例給付の対象となり、児童手当の金額は児童1人につき月額5千円となります。
10月以降はこちらの所得限度額が撤廃される見込みです。
したがって、その他の要件を満たしていれば年収に関わらず児童手当を受給できるようになります。
児童手当の支給対象となるのは、これまで以下のような児童でした。
中学校終了までの国内に住所を有する児童(15歳到達後の最初の年度末まで)
つまり、児童手当支給の期限は子どもが中学3年生の3月までとなっていたのです。
改正により、こちらの支給期間が延長される見込みです。改正後の支給期間は以下のとおりです。
18歳年度末まで
つまり、こどもが高校3年生の3月まで児童手当を受け取ることができるようになります。
これまでの児童手当では、児童手当の月額は以下のようになっていました。
(出所:こども家庭庁児童手当Q&Aより https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/faq/ippan#qa2 )
改正後は以下のように第3子以降の金額について、子どもの年齢に関わらず増額される予定です。
第3子以降 月額30,000円
あわせて多子加算のカウント方法についても以下のとおり変更されます。
(現行)高校生年代までの子をカウントする
→(改正後)大学生に限らず、22歳になる年の3月にいたる前の上の子について、世話をし、生計費を負担するなど親等の経済的負担がある場合をカウント対象とする
これまでは、当初第3子に15,000円が給付されていたとしても、途中で第1子が高校を卒業したりすると、子ども1人とカウントされず、
それ以降の給付額が月10,000円に減額されるといったもやもやする仕組みだったのですが、
こちらが改善されたということですね。
支払月についても以下のとおり変更されることとなります。
(現行)年3回(2月、6月、10月)→(改正後)年6回(2月・4月・6月・8月・10月・12月)
現状児童手当は4カ月に1回の支給ですが、2か月ごとの支給に変更になるようです。
児童手当の改正とともに子育てを支援するしくみとして子ども・子育て支援金制度が2026年度に創設されます。
支援金を広くあつめ、一定の費用に充てるものですが、以下のとおり支援納付金は現役世代だけではなく、
後期高齢者医療保険の加入者からも広く納付金を集めるしくみとなっています。
出所:こども家庭庁説明資料より
加入する公的医療保険制度に支払う保険料に上乗せして支援納付金の負担が新たに必要になるため、
わたしたちの手取り収入にも影響が出ることが見込まれます。
現状では、月500円程度をベースとする試算が行われているようですが、
どれくらいの負担になりそうなのか、など確かなことはまだわかりません。
なお、あつめた支援納付金は以下のような費用にあてられるとのことです。
出所:こども家庭庁説明資料より
創設は2026年ですので、当面保険料負担が増えることはありませんが、今後の動きに注目していきたいと思います。
10月からの児童手当の変更点について解説しました。
資料を読んでいると、こちらの改正だけではなく、
離婚後・離婚協議中の児童手当受給者認定についても同居優先の規定があきらかにされていたりと、
社会全体で子育てをきめ細かく応援する方向へとシフトしていこうとしている取り組みが推測されました。
これから社会がどうなるのかは誰にもわかりませんが、公的制度などは着実に変化を盛り込んできています。
また負担が増えるのか…とネガティブな思いも出てきますが、
だからこそ上手に活用して振り返った時によかったと思える自身の関わり方が大切になりそうです。
そのためには、ひとりひとりがよりよいお金との付き合い方を考え、
よりよい未来について考える自分なりのものさしをもつことが大切ではないかと思います。