こんにちは。見つけるツクル。家計の総合医。ファイナンシャルプランナーの内田英子です。
先日わが家が契約している電力会社(A電気)からこんなお知らせが届きました。
地域の電力会社の規制料金改定に伴う電気料金の改定のご案内
内容を確認したところ、どうやら先日大手電力会社が経済産業省に規制料金の改定を申請し、認可されたことを受け、契約しているA電気も料金を改定、値上げをする予定だといいます。ちなみにわが家が契約しているのは大手電力会社以外に小売電気事業を行う電力会社で「新電力」と言われる会社です。
規制料金とは何なのでしょうか。なぜ値上げとなるのでしょうか。そして、わたしたちにはこれからどの程度の影響が考えられ、どのような対策が必要なのでしょうか。家計の総合医の視点でひもといていきたいと思います。
規制料金は、一言でいえば、電力会社が経済産業大臣の認可を受けた料金メニューのことを指しています。これまでの電気の供給は大手電力会社のみという状況の中、大手電力会社の地域独占を認めるかわりに、契約者に不利益とならないよう、一定のルールとして定められていました。ところが、電気の供給においては、2000年以降段階的に電力小売業が自由化され、2016年には全面自由化が実施されました。大手電力会社の地域独占は不可能になったのです。それに伴い、電力料金も自由化し、電力会社の采配で決められる自由料金が登場しました。ただ、一定のルールなくしては、独占状態が起こる恐れも想定されます。そこで、これまでにあった規制料金も併存するかたちで、現状では契約者は自由料金と規制料金から選べるようになっています。一方、ロシアとウクライナとの戦争や円安など、さまざまな経済状況の影響を受け、燃料価格は上昇しました。燃料価格の上昇等の影響を反映しづらい規制料金を採用する大手電力会社の財政状況は悪化しました。そこで、この度規制料金の改定を経済産業省へ申請し、審査の結果、認可されたようです。
規制料金改正によって、わたしたちにはどのような影響が考えられるのでしょうか。結論から申し上げると、大手電力会社7社※が当初提示した値上げ幅は圧縮されたものの、大手電力会社7社いずれも規制料金の値上げが実施されるようです。値上げは6月1日以降使用分の電気から適用されます。どの程度電気料金の上昇が見込まれているのか、と言うと、標準的な家庭の場合で14%~42%です。今年の1月使用分から適用されている電気料金値引きの支援も考慮すると、ウクライナ侵攻前の2022年2月の電気料金よりも同水準以下となることが見込まれているそうですが、電気料金値引き支援は9月使用分で終了します。寒くなると電力消費料は増えやすくなります。現在大手電力会社を利用し、規制料金で契約されている方は、10月以降の電力料金の負担は増えることが想定されます。
(出典:経済産業省「電気料金の改定について(2023年6月実施)」電気料金の改定について(2023年6月実施))
※大手電力会社7社:北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力
規制料金の改定を受け、影響を受けるのは基本的に大手電力会社を利用し、規制料金で契約している方ですが、大手電力会社7社は自由料金も同時に改定することを発表しています。新電力についても、今後同様に値上げの方向での改定が増えていくことも見込まれます。わが家が契約するA電気も7月利用分から料金を改定、値上げする予定とのお知らせが届いていました。実際にどの程度の影響を受けるかは契約されているプランによっても異なりますが、自由料金改定により、今後の電気料金は値上げとなる方は多いようです。また、燃料費調整額の改定などにより、電気の使用量だけではなく、為替変動や燃料価格等の影響を受け支払い額が増減することも想定されます。まずはご自身の契約内容を確認されてみてください。
さまざまな物価が上がる今、電気料金も値上げと聞くと、うんざりしてしまいます。電気は生活に欠かせないものですから、今後は無理なく続けられる対策を立てつつも、家計を見直したり、収入を増やしたりして、暮らしを守っていくことがポイントとなることでしょう。一方、電気の使用量を減らすことはご自身のお財布にはもちろん、地球環境にもプラスになります。これを機になんとなく照明をつけっぱなしにしている部屋はないかな?なんとなく買替えをしぶっていた古い家電はないかな?など電気の使い方やいつもの暮らし方を振り返ってみましょう。最近は省エネ性能の高い家電だけでなく、蓄電できるエコカーや断熱性能を気軽に高められる住まいの内窓リフォームなど暮らしの消費エネルギーを減らせるものは増えてきています。便利さを手放すことで見出せる豊かさもあるでしょう。せっかくなら、楽しみながらできる対策を今から考えていきたいですね。
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